[Novel:12] -P15-
ぐいって奥まで入れられて、オレは悲鳴を上げた。苦しいのに、宏之はそのまま動きを止めて、オレの顔を覗き込む。
「なに、考えてるんだ?」
「やっ、ちゃんと、うごいて!ヒロユキ!」
「そうじゃなくて…コウはこんなとき、何考えてる?」
ばかじゃねーの!こんな状態で、何も考えられるわけないだろ!!
「ヒロユキ…も、たのむからっ!うごいて!してってっ!なあ、はやく…っ!」
めいっぱい宏之を咥えこんだまま、そこが痺れて熱くなってる。中に宏之がいるリアルな感覚だけが、オレを狂わせるんだから!
泣いて懇願するオレに、宏之がふっと笑った。くそう。余裕かよ!唇を噛んで、咥え込んでるものをきゅうっと締め付けてやった。途端に宏之が、眉を寄せて。
「っ、コウ…!締めるなよ、出るだろ」
「出せばいいだろっ!あんま焦らすと、乗っかって勝手にヤるぞっ」
「それは、勘弁しろ」
苦笑いされる。マジだぞオマエ!
頼りない足首を、宏之の大きな手が掴んで、さらにオレの足を広げさせた。
そうして身体を離し、半ばまで腰を引かれると、繋がってるところがオレにまで見える。
うわ、やらしい眺め。
オレを見下ろす宏之が、はあって息を吐き、唇を舐めた。来る、って。悦楽の予感に身体が震える。
「っあ、あん、あ!ああっ!」
意味のある言葉なんか、出てこない。揺さぶられるたびに、甘ったるい悲鳴が口をつく。くっついて、キスしながらするのもいいけど。こうして宏之の顔見ながらされると、嬉しさとか恥ずかしさとかがごちゃごちゃになって、アタマん中が弾ける気がする。
「あああっ!や、っく、いく!ああっ!」
叫んだ瞬間、爪先から脳まで一気に痺れが走った。腰を掴んでる宏之の手に爪をたてて、身体を震わせる。
かあって、身体中が熱くなると同時に、宏之がオレの中で達したのがわかった。
二人で荒い息をついてたら、優しい手がオレを抱き起こしてくれた。背中を撫でられると、緊張していた身体は少しずつ、溶かされていく。
ダメだもう…なんか、力はいんない…
なんだコレ、一回したぐらいでこんな、とろとろでどうすんだよオレ……。
宏之が中から出て行くと、ぞくって背筋が震えた。
オレを膝に抱いたまま、宏之がシャツを脱ぎ捨てる。鍛えてますます硬くなってる身体に縋り付き、日にやけた肌を触ってたら、なんか。なんだろ。旨そう?いいや舐めちゃえ。
唇を押し付けて舌を這わせと、宏之の身体がぴくって、震えたのがわかった。
感じてる?気持ちいい?
気を良くして、ちゅうって吸い付くと、慌てた宏之に頭を引き離される。
「なんだよ…良くない?」
「イイから困るんだろ」
「なんで?もう、ヤメんの?」
そりゃ、さっきまでへろへろだったのは認めるけど。オレにとって、何よりオマエが栄養剤なんだもん。宏之の身体舐めてたら、元気になってきたし。
「ヤメないけど…」
「オレ、オマエがオレに善がらされてるとこ見んの、好きなんだけどな〜」
「勘弁しろよ…」
嫌そうに溜息をつく。
ほんとに嫌なんだろうな。愛撫に感じすぎれば、オカシくなるのは宏之だってオレと一緒なんだし。宏之としてはずーっと主導権握ってたいんだろうけど。たまにはいいじゃん?
だって。可愛いんだもん。
辛そうに眉寄せてさ、掠れた声上げながら、やめてくれって懇願されるの。ちょうだい、って乗っかると、まるで宏之のほうがされてるみたいに顔、赤くなるんだよ。
しまった。思い出してたら、その気になってきた。
そうっと宏之のに手を伸ばしたら、それを察したのか宏之は咄嗟にオレの手を掴む。
「え〜〜〜…」
「今度な」
「今度?いつ?」
「そのうちっ!」
少し顔を赤くして、宏之はオレの顔を上げさせると唇を塞いだ。まあ、いいか。今度な今度。…日付が変わったら、今度っていうかな。
不穏なオレの空気を感じてるのか、いやに丁寧に舌を絡められる。下唇と上唇を別々に啄ばまれて、もどかしげにオレが口を開けると、入ってきた舌先に上顎をくすぐられた。
「んっ…んんっ…」
息苦しい、熱い。どうにかなる。
宏之はキスでオレを翻弄しながら、身体をゆっくり探っていた。胸をくりって捏ねられると、なんか形にならないほわほわした塊が、頭の後ろでぱんって破裂したみたいになる。肩が揺れるほど、身体が震えて。オレはぐったりと、宏之に寄りかかった。
「こんなことだったら…」
呟く宏之の顔を、ぼうっと見上げた。照れるそぶりも見せず、宏之は真顔でオレを見下ろしてる。
「指輪でも、買えば良かった…」
……マジデスカ。
恥ずかしい台詞にちょっと笑って。来年な、と囁いたオレは、宏之の唇をぺろっと舐めた。