[Novel:09] -P:05-
「たか、や…さん…っ」
そんなこと、もうどうでもいいから!
ボトルを置いた鷹谷は、さっきまで炯が蹲っていたあたりに座った。ブラックストーンの煙を吹きかけられて、咳き込む炯の目からいっぱいになっていた涙が零れてしまう。
辛いと眉を寄せる炯に手を伸ばし、タバコを灰皿に置いた鷹谷はスコッチのボトルを引き寄せる。片手間に炯の胸を弄ってやった。
「ああっ!やああっっ!」
悲鳴をあげ、炯が身体をくねらせるけど。触って欲しいと暴れる下半身には一切触れず、鷹谷は冷めた視線で、手元のボトルを見つめている。
「そういえば、キンクレイスが飲みたいと言っていたな。飲ませてやるぞ、やめるか?」
顔も見ない問いかけに、炯は必死で首を振った。
「やっ…いやっ…!たかやさんっ」
幻のキンクレイス。安いものでも一本十万以上するシングルモルト。鷹谷に連れて行かれた店で、年老いたバーテンダーにその銘柄を教えられたのだ。酔った勢いで「飲んでみたい」などと。言った炯ですら、忘れていた。まさか本当に取り寄せているなんて。
しかも、飲ませてやる?こんな状況で?
どこまでも意地の悪い鷹谷に翻弄され、炯はなんども髪を揺らした。きゅうっと胸の突起を抓られて、身が反り返る。
「ひっ、あっ…ああっ、たかや、さ…」
「どうした?炯…これだけでイッてしまえれば、楽になるのにな」
「さわっ…て…たかやさんっ」
「だったら言いなさい」
ボトルから一口含み、鷹谷は炯の胸にそれを塗りつけた。途端に広がる、芳醇でスモーキーな香り。炯がびくびくと身体を震わせる。
足を擦り合わせても、楽になどなるはずがないけど。それぐらいしか許されない。腹につくほど中心を反り返させて、炯は必死に鷹谷を呼んだ。
「炯?」
「いう…いう、からっ」
どうでも良かった。もう、なんでもいい。早く開放されたい。
顔を上げた鷹谷が、炯を見つめている。
「誰だ」
震える唇が、紡いだ言葉。
「…あ、さき…」
「…………」
「あさきに、きのう…っ!ぁあ、たかやさんっ」
もう許して、と。懇願する炯の、涙にけぶる視線の先。鷹谷はほんの一瞬表情をなくし、そうしてくっと笑った。
「なるほど」
抱き起こされ、縛られた手もそのまま、形のいい唇に、鷹谷が指を押し込んでくる。必死に唾液を擦り付ける炯の、乱れた髪をゆったり整えてやりながら、鷹谷は高沢旭希(タカザワアサキ)を思い出していた。
「んっ…ふ、んっ…んんっ」
「ずいぶんと我慢強い人だ」
それは、炯のことではなくて。
もう、何年だ。
まさかいままで、手を出すことも、諦めることすら出来なかったなんて。
懸命に鷹谷の指を舐める炯の頬を撫でてやって、咥えさせていた指を引き抜く。焦れて自ら腰を浮かせる炯の後ろに、差し入れた。
「あう、っ!ああっ」
細い足を抱え上げ、さんざん旭希を受け入れて、まだわずかに綻んでいるところを探ってやる。難なく寛げ、炯の痴態に煽られていたものを宛がってやった。先だけ含ませると、慣らされた炯のそこが、切なく蠢いて鷹谷を飲み込もうとしている。
「いいか?炯」
聞くまでもないのだが。
がくがくと頷き、縛られた手で縋りついて、はやくとせがむ炯の中に、鷹谷は一気に奥まで突き入れた。
「ひっ!あああっ!」
「どうした。欲しかったんだろう?」
「いや、あっ…も、っと、ゆっくり…!」
「わがままを言うな。私も忙しいんだ」
壊してしまうほどの勢いで突き上げる鷹谷に身体ごと揺すぶられ、炯はとめどなく悲鳴を上げる。切ない声を裏切って無意識に腰を揺らせる炯に、鷹谷は笑みを零した。
炯を抱いた旭希は、どれほど失望しただろう?大切に大切に守ってきた愛しい人が、こんなにも淫らに男を誘うことを知った、旭希は。
縛っていたネクタイを解いてやると、開放された手で炯は鷹谷に抱きつき、高く啼いて絶頂に達した。何度も息をつく炯を許してやらず、まだなお突き上げる。
「やっ…!も、むり…たかやさんっ」
「私を放っておくのか?」
「それはあなたが…!あ、あぅっ!」
敏感になっている炯の身体をさすってやって、無理矢理追いつめると、炯の中は本人の意思に反して鷹谷を締め付ける。狭い中を犯しながら、鷹谷は楽しげに口元を吊り上げていた。
「いい、あっ…ああっ!」
「もう止めたいんじゃなかったのか?」
わざと酷い言葉で傷つけながら、再び頭を上げた炯のものを、強く扱いてやる。感じすぎると言って泣き喚く炯を、容赦なく揺さぶった。