不機嫌な表情に、激しい憎悪の色。柳眉を逆立て、ぎりっと奥歯を噛み締めているリュイスは、今までのふざけた態度を一変させて、冷たくテオを見下ろしていた。
この救護室で陵辱を繰り返す中でも、どこかしら面白がっていて、テオをからかい続けるリュイスだが「クリスティンの名を出すな」と口にするときだけ、冷酷な表情を見せる。テオが理由を聞いても、無言で犯されるだけだ。
口では酷いことを言うくせに、あくまでテオの快楽を引きずり出そうとするばかりのリュイスの行為が、ただの暴力に変わる瞬間。
テオの表情が恐怖に歪んだ。
「あ…あ、あ…」
「あいつに返してやるものなど、何一つない」
「や、め…や…っ」
「諦めろテオ。お前は帰さない」
リュイスはテオの頭を扉に押さえつけたまま、細い腰を引き寄せる。気を失うまで犯されていた後ろの蕾は、抵抗もなくリュイスのものを受け入れてしまう。
しかしいきなり最奥まで突き入れられる圧迫感に、テオは苦しさでぎゅっと目を閉じた。
「っ、ぐ…ぁ」
「もう少し自分の立場を考えるんだな」
頭を押さえていた手を離し、腰を掴んで激しくテオをに揺さぶるリュイスは、少しも楽しんでいなかった。その表情はテオと同じくらい歪み、苦しげに見える。
しかし扉にすがり付いて痛みに耐えているテオに、そんなリュイスの表情は見えていない。
「い、あ!ああっ、あ、あ!」
わずかに首を振っているテオは、逆らいたいのか懇願したいのか、自分でもしだいにわからなくなっていた。
からかいながら犯されていても、苦しいのは同じだけど。こんな風に暴力的にされると、胸のずっと奥まで傷つけられているみたいで、そこにいるのがリュイスだということさえわからなくなってしまう。
ただ大きくて熱いものに身体を引き裂かれる辛さがあまりに苦しくて、テオは泣きじゃくるばかりだ。
今ここで、やめて下さいと言って許されるなら、テオはそう叫んでしまうかもしれない。
今のリュイスはテオを傷つけることしか考えていない。いっそ自分が陵辱している相手が誰なのかさえ、今の彼にはどうでもいいことなのだ。
何度も何度も身体を揺さぶられる。繰り返される律動は単調で、それだけにリュイスの怒りが怖い。
どんどん抵抗する気力が萎えていく。
竦み上がった心を叱咤する自分の声が、テオの中で聞こえなくなっていった。
「や、ぁ…やだ、りゅい…す」
「…………」
「…ねが…ぅ…やっああっ」
「テオ」
とうとうテオの口から、嘆願の言葉が落ちてしまう。
お願い、やめて。
泣きながら嫌がるテオの小さな背中。