今日で一体、何日目なのか。
落盤し閉鎖された鉱山。テオ・オーベリはその鉱山で、かつて救護室として使われていたのだろう廃屋に、いまだ囚われている。
すでに時間の感覚も麻痺していて、ここへ連れて来られてから、何日経っているのか判断がつかない。
途方もなく長い時間にも思えるし、リュイスと再会したのがつい昨日のようにも思えた。どちらにしてもテオの精神は、限界まで疲れ切っている。
リュイスとの再会。強引な監禁。そして唐突な陵辱。
テオの身体を傷つけるたび、リュイスは魔力を使って治療し、また傷つける。
何日目だったか急に食事を与えられ、それからは毎日一食、何かしら口に出来ている。リュイスが引き裂いた軍服に代わる服も渡された。
どちらも質素ではあるが、粗末な代物ではない。
だがいくら傷を治し、食事を与えられても、テオの心が癒されることはなかった。
相変わらずリュイスは、己の気の赴くまま昼夜を問わず、テオを陵辱する。
けして国王クリスティンの名を口にしなくなったテオに、リュイスがこれまでのような暴力まがいの陵辱を与えることはなくなったが、それでも無理やり身体を開いて犯すという行為に変わりはない。
気まぐれに優しく頭を撫でてみたり、強く身体を抱きしめてみたり。
翻弄されるテオの心に、甘やかな過去の憧憬がなくならないことを、知っているのかもしれない。それが悔しくて抵抗すれば、リュイスはまた、酷い言葉を吐きながら屈辱的な行為を強要する。
されていることは残酷で、憎しみさえ覚えるのに。
覆いかぶさってくるリュイスの瞳が意地悪く、しかし楽しげに細められると、テオは彼と一緒にいた懐かしい過去ばかり思い出してしまうのだ。
どれくらい気を失っていたのか、目を覚ましたテオはゆっくり身体を起こした。
暗い室内に目を凝らせば、リュイスの姿がない。ふと自分の身体を見下ろし、悔しげに眉を寄せる。
「…馬鹿にして…」
彼はテオをここに閉じ込めてから、変わらず一人で監視を続けているが、なにもずっと近くにいるわけじゃない。
思う存分テオをいたぶった後、疲れで動けない細い身体をわざわざ縛り上げてから、ふいっと出て行くこともある。食事の調達だけではないようだが、テオにその意図は掴めない。
黙って壁際に腰掛け、目を閉じていることもあった。
隙を見せるリュイスに、テオは何度も逃亡を計るが、一度も成功していない。
しかし今日は、テオの身体を自由にしたままだ。