【Lluis×TheoD】 P:13


 随分な言葉に、テオはリュイスを睨みつける。
 水を操るのも天候を操るのも、治癒力を持つリュイスと同じ、賢護石にだけ与えられた魔力だ。そんな彼らに力では敵わないことをわかっていて、しかし必死に戦いを挑んでいる自分たち討伐隊のことを愚弄するのは、許せない。
 鋭い視線を受け止めたまま、リュイスはテオの上で肩を竦めた。

「そういうことだ」
「リュイス様」
「お前が海賊にはなれないように、私も二度と王宮になど戻らない」
「どうして…?」
「何度も言わせるな。私はクリスが嫌いなんだよ。あいつを国から追放するというなら、戻ってやってもいい」
「そんなこと!」
「できるわけない、だろう?」

 苦笑いを浮かべたリュイスは、身体を起こし自分が組み敷いているテオを見つめると、目を細めて口元を吊り上げた。

「まあいい、後で考えるさ」
「後ってそんな」
「今はお前をよがり狂わせて泣かせることが優先だ」

 ぺたりと肩に貼りついた手が、艶めかしくテオの身体をたどっていく。

「続けるぞ」
「リュイス様…」
「もう傷つけたりはしない。私が与えるのは快楽だけ。お前の喘ぐ声が、何より私を興奮させるんだ…他の何も目に入らないくらいにな」

 自分の唇を舐めているリュイスの赤い舌を見て、テオも忘れていた熱が身体を這い回るのを感じた。
 かあっと顔を赤くするテオを見下ろし、リュイスはもう一度低い声で「続けるぞ」と囁く。
 指の腹で胸をこりこり弄られ、テオはびくっと身体を震わせた。

 今、この時だけかもしれない。
 切ない覚悟は欲情と混ざり合って、テオの迷いを押しやった。

 少しの間、躊躇いを見せていたテオだったが、しかしゆっくり手を伸ばすと、リュイスの身体を引き寄せた。

「…して、ください」
「テオ…」

 リュイスの瞳が見開かれ、すうっと細くなる。噛み付くように首筋を吸われ、テオは小さな喘ぎを零した。
 憧れて追いかけ続けた背中を、熱い手で抱きしめる。テオは初めて自分から、リュイスの身体を受け入れた。


《ツヅク》