「ほとんど治ったと、お前が自分で言ったんだぞ。気にするな」
「気にしますっ」
「悪化したら治してやるさ」
肩を竦めて言いながら、今度こそテオが身動きできないよう抱きしめて、リュイスはじっとテオを見つめた。
「あ、の?」
「なあテオ」
「…はい」
「今だけは、何も気にしなくていいんだ」
「え?」
意味がわからず戸惑うテオに、リュイスは熱っぽい瞳で囁いた。
「私と二人でいるときだけは、何も心配しなくていい」
「リュイス様…」
「お前がここに残る以上、ずっと傍にいてやることは出来ない。だからこそ私がいるときは、全て忘れて私に預けてしまいなさい」
大きな手でテオの前髪をかき上げ、愛しげに頬を撫でる。意地悪なさっきまでの表情を消し、リュイスは優しく微笑んだ。
「思う存分、甘えるといい。お前一人くらい、甘えさせる度量はあるぞ」
「…はい」
「愛しているよ、テオ」
真摯な囁きに目を見開いたテオは、それを噛みしめるようにしばらく目を閉じ、ゆっくり開いて幸せそうに微笑んだ。
「僕も…愛しています。リュイス様」
今、この時だけ。
重なる唇に甘い吐息を零し、テオはゆったりとリュイスの広い背中に腕を回した。
《ツヅク》