涙はあとからあとから溢れてくる。
ようやく愛していると言ってもらえたのに。本当はわずかな間でも、離れたくないのに。どうして外は明るくなるのか。どうして夜の闇は、自分たちを隠していてくれないのか。
どれほど強くなれば、再会の約束に微笑んで、リュイスを見送れるようになるのだろう。何度再会し、別れを繰り返せば、この切なさに慣れることが出来る。
一緒に行かないと決めたのは自分だ。
その上でリュイスへの愛を貫くと決めたのもテオ自身。
ワガママな自分に、リュイスは応えてくれた。彼は必ず会いに来てくれる。
でもテオには、リュイスのいない今日一日を、どうやって過ごせばいいのかすらわからない。
明日会えるかもしれないけど。
今日はもう会えないのだから。
「愛してる…一日でも離れたくない…リュイス様行かないで…戻ってきて…僕のそばにいて…」
きっと強くなるから。やがて少年は涙を拭い、立ち上がるだろうけど。
今はただ泣きじゃくって、開かない扉に縋りついていた。
《了》