あの金色の瞳を見つめ、愛していると囁いたら。同じように忘れられてしまう。
それを仕方ないなんて、ウィルは到底思えない。
どうしようもないことに逆らおうとしているウィルの気持ちを知って、クリスはまるで自分が傷つけられたかのように、辛そうな顔をしていた。
「貴方は一体、レフをどうするつもりなんです…?」
問われたウィルは、一度目を閉じて。
ひやりとするほど冷たい瞳を、クリスに向けた。
「オレを酷い男だと言ったのは、お前じゃないか」
「それは…」
「確かにそうさ。利用できるものは何だって利用する。オレは自分の幸せのためなら、レフでさえ犠牲に出来るほど、残酷な男だよ」
「っ…!」
揺るぎない宣言にクリスは驚き、目を見開いている。それは彼にとって、自分のセリフのように聞こえたかもしれない。
目に見えて顔色を失っていく。元から白い肌が青ざめる。
恐ろしい目に遭ったとでもいうように、クリスは自分の身体を強く抱きしめた。
ふうっと肩の力を抜いて、ウィルがクリスを柔らかく包む。何度か頭を撫でてやってから、ゆっくり腕を解いた。
「お前も少し休んだ方がいい。自分の部屋に戻るのがイヤなら、オレの部屋で休んでろ」
最近、人の出入りが多くなった自室では、きっと自分の感情を出せないだろうから。
ウィルはクリスに自室の鍵を握らせ、振り向かずに歩き出した。
後ろ姿が見えなくなるまで、クリスは顔を歪めてその場に立ち尽くしていた。
《ツヅク》