Bレフ視点
■ウィルに対するレフの変化

クリスとアルムを懐柔した(レフ的に)ウィルが、平然と自分の元へ通ってくるのを拒否れなくなり、ウィルという少年に好意を抱き始める。(恋愛感情ではなく)
→ウィル10歳、アルム8歳


■年齢
・ウィル&クリス10歳
・アルム8歳
・ファン5歳
・テオ1歳

■状況
・主要人物たちの関係性も、王宮内も、比較的平穏。(全編通して一番平和な頃かも)
・ファンはまだ王宮に上がれず、紫の賢護石が不在。
・まだまだオーベリ・パパも存命。


レフの元へ皇太子と第二王子がやってきた。昼食を自分の元で食べるのは、予定されていたこと。笑顔で迎えてやるレフに、クリスは「お土産があるんです」と告げる。何かと思えばウィルだった。
途端に嫌そうな顔をするレフ。しかしウィルは「土産があるのはホントなんだってば」と言って、何かの瓶を差し出す。王都ではあまり見かけない、もっと南側の地方で取れる果実を漬けたシロップだった。
子供の、しかも足の悪いウィルが運んでくるには、かなり重たいものなのに。少年は平然とした顔で「レフが喜ぶかと思って」と笑っている。
嬉しいのに素直にありがとうなんて言えるわけがない。仕方ないから、受け取ってやる。そんな言い方をしても、ウィルは反論せずただ嬉しそうな顔をしていた。

それを使ったデザートが食べたい、と相変わらずアルムのワガママ。レフがそのワガママをきいて、子供たちにタルトを作っていると、後ろではなにやらクリスとウィルが難しい話をしている。
てっきり街で流行っている遊びの話だと思っていたのに、よく聞いてみたら王都のはずれにあるスラム街についてだった。
貧民街の功罪。貧民層を救う方法。今あの場所に必要なのは何か。
大人顔負けの論議を繰り広げている二人に、レフは密かに舌を巻く。しかし熱心に話す兄を取られまいと、アルムが邪魔をして終わってしまった。

ウィルは思っていたより子供ではないのだろうか。ちょっと気にかかりだしたレフは、たまたま書類を届けに来たリュイスから、ウィルの話を聞かされる。
あの時(@のとき)に自分が助けてやった子供が、来年から大学へ通うというのは本当か?
びっくりするレフ。どうしてリュイスが知っていて、やたらめったら会いに来られている自分が知らないのか。
しかしリュイスは肩を竦めて苦笑い。
「アンタ、ウィルの話になるとあからさまに嫌な顔をするだろ。誰も言えないんじゃないのか?」
そういえばそうかもしれない。でも、ウィルのことを他の誰かが知っていて、自分が知らないのは気に入らない。

別の日。今日はウィルが一人でレフの元を訪れた。大学のことを聞こうかどうしようか、迷っている所に珍しくディノが現れる。
気軽にウィルト言葉を交わし、大学のことを話していた。確かにウィルの歳で大学の講義を受けるなら、その許可書類はディノを通っているはず。
レフやリュイスと話している時とは違い、穏やかに、かつ敬意を持って話している(よそゆきの)ウィル。またこっそり感心させられてしまった。
ディノに王宮の図書室に入る許可を貰い、喜んでいる顔はよく知っているものなのに。

二人だけになってから、大学のことを聞いてみた。
ウィルは自分が、以前は漠然と父の跡を継ぐ気でいたこと、今はクリスの為に本気で医者になる気でいることを話してくれる。
思いもよらず、情熱的で懐が深く、友人思いのウィルを知って、レフは彼を拒絶していた自分のほうこそ子供だったと、口にはしないがちょっと反省。ウィルのことを見直すきっかけになった。
(もちろん、表面的には変わらない)

※この流れで、Cの街へ同行する変化がわかりやすくなるかな?と思っています。