Dレフ視点
■ウィルが帰ってくる
■年齢
・ウィル&クリス16歳
・アルム14歳
・ファン11歳
・テオ7歳
■状況
・テオがリュイスに引き取られて数年後。ドSなイジメの真っ最中。(愛情です)
・この時点ではまだファンが王宮に上がっていない。
・アルムの想いはもはや止めようもない所まで来ている。
引き続き要点のまとめ。
王宮ではウィルの論文が話題になっている。
サシャの谷の王立文殿に眠っていた、賢護石に関する研究資料を掘り起こし、まとめ、考察を加えた論文。
※賢護五石は魔族の中でも極めて魔力が高いため、免疫力も同じく高い。
その為に治療目的の薬や手当てを、不要成分として排除しようとしてしまう。
そんな賢護石の治療には、ヒトや一般の魔族にとって、毒でしかない薬の処方や、かなり大胆な施術が必要。
……という結論はどうでしょう?
たとえば止血なら、普通は腕が紫になるほどの力で締め上げないといけないとか。咳を止めるために、呼吸困難に陥るほどの猛毒を飲まなければならないとか。
もちろん論文はまだ、机上の空論。
今後は実際の賢護石と共に、研究を進める必要がある。ということで、皇太子が強引にウィルト・ベルマン医師の王宮招聘を決めた。
(王宮医師団は、自分たちより優秀な人間を嫌うので批判的)(でもクリス様は負けてあげません)
レフは例の論文が発表されて始めて、ウィルの真意を知った。
王都帰還が決まったため、クリスに呼び出されたレフは、ウィルが自分の為に研究を始めたきっかけや、経緯を聞かされ、動揺する。
どんどん落ち着かなくなるレフの元へ、ウィルが帰って来た。
正式な招聘であるがゆえに、国王謁見の席には賢護五石が揃わなければならない。渋々出席して、成長したウィルを見たレフは、さらに動揺。幼かった面影はなく、ウィルはすっかり大人の青年になっている。
しかしウィルは、少しもレフの元へやってこない。落ち着いた様子で国王アーベルに招聘の礼を述べ、その後の晩餐でも、クリスにべったり張り付いている。
(クリスが後ろ盾なので当然といえば当然)
アルムと話し、リュイスと話し、王宮医師団の嫌味をさらりとかわして。そんなウィルを離れたところからひっそり見ていたレフだが、耐え切れなくなって広間を抜け出す。
仕事を理由に逃げ出したので、レフは執務室で一人、困惑している。どうして自分はこんな、動揺したり焦ったり、嫉妬まがいの感情を持て余しているのか。
夜になってから現れたウィルは、改めてレフを口説きにかかる。その時は適当な言い逃れをして、追い返した。
ウィルをどう扱っていいかわからない。
少し距離を置こうとするのに、彼は全然その気がない様子。何かとレフの元を訪れ、当然の顔で毎日のようにレフの作る食事を食べ、しかし決定的に手を出したりはせず、夜には自室へ帰っていく。
医療研究員として成果を挙げ、あっという間に王宮にも馴染み、これでは倦厭しているレフの方が非難されてしまいそうだ。
仕方なく、あくまで子供扱いを貫きながら、ウィルを受け入れる。心得たもので、彼はレフの自尊心を傷つけないよう、心地いい存在でいてくれた。
ウィルがそばにいる状況に、だんだん慣れてくると、無意識だがウィルのそばが一番心地いい場所になってくる。
つい、いてもいなくても、何か手を貸して欲しい時(高いものを取るとか)、「ウィル」と呼んでしまって自分に赤面。
ふと窓の外を見ると、テオがリュイスから剣の手ほどきを受けていた。
鍛錬というより、もはや苛めに近い訓練。
歯を食いしばって耐えていたテオだが、さすがに敵うわけもなく膝をつく。そんな幼い少年に、リュイスは容赦ない。
「貴様はそうやって戦場でも蹲っているつもりなのか!役に立たない兵士などいらん!辞めてしまえっ」
怒鳴り声を聞いて、レフはテオの元へ駆けつける。テオは必死に立ち上がっていた。
もういいだろうと、レフに止められてリュイスは剣を引いた。リュイスが背を向けたのを見届けて、テオは崩れ落ちる。
思わずウィルを呼び、慌てて医者を呼びなおすが、どこで聞いていたのかウィルが素早く現れる。
驚きと動揺。でも一緒にいたのがクリスだとわかり、軽く嫉妬して、そんな自分にまた動揺。
テオを可愛がっているクリスは小さな身体を抱き起こし、ウィルが手当てを始める。レフは二人にテオを任せてその場を離れた。
離れたところから様子を見守ろうとしていたのだが、物陰に先客。リュイスだ。
リュイスはあんな風に虐待ギリギリの冷たい態度を取っているくせに、そうとうテオを気に入っている。
テオの初恋。まんざらでもなさそうなリュイスの表情。レフは自分の経験から一線を引くよう忠告するが、リュイスに鼻で笑われる。
自分はテオに何があっても、最後までそばにいてやれるのだと言うリュイス。
幼いウィルが今も言う「ずっとそばにいる」という言葉が、この会話をきっかけにレフの中で現実味を帯び、大きくなり始めた。
※問題発生のネタを、より小さいものにして見ました。大筋は変わってないです。
※入るかどうかわからないけど、テオが何か小さな怪我をして、治療はしてくれるんだけどウィルは「データが取れる」って喜んでて、何かあったらどうする!って反論したら「だからリュイス様にも同席してもらってるだろ」「そうだ、後のことは任せろ。ウィル好きにやれ」っていう……Sコンビのシーンが書きたいなあと、自分用メモ。(笑)