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【この空の下に③】 P:10


「まあ、全ては明日だ。今夜はあんたを抱きしめるだけにして、床につく。そういう約束だったからな」
「泰成、お前な」
「抱いてもいいなら喜んで抱くぞ?私が気遣ってやるのは、世界中であんただけだ」

 どうする?と。やけに楽しそうな顔で泰成尋ねた。
 どうしようもなく子供っぽい顔を睨み、惺は嫌そうに「遠慮しておく」と呟く。

「残念だな」
「いい加減、離せ」

 身を捩るが、気分の高まってしまっている泰成は、耳を貸そうとしない。

「宿はどうするかな…さすがに私の滞在している所では、子供の教育に悪そうだ」
「子供?!お前、殺人鬼見物に、子供を連れてきているのか?!」
「子供扱いする年でもないと思うんだが、私の従者はまだ幼くてね。そのうち会わせてやるよ」
「どこまで悪趣味なんだ…お前」
「まあ、どこでもいいか。あの廃墟に比べたら、埃が払われているだけでも十分だろう?」

 くすくす笑いながら、全てを手中に収めている顔で、泰成が惺の耳に口付ける。
 もう今夜は何を言っても聞きそうにないと諦めて、惺は渋々頷いた。


≪ツヅク≫