先生は僕の身体に抱きつき、ぎゅうっと身体を強張らせた。
「あああっ!…あ、あ」
がくん、と力の抜けてく細い身体。痙攣でも起してるみたいに蠢く先生の中へ、僕も自分を吐き出した。
熱い息が、どうにも暴れて収まらない。
それでも何とか先生に預けていた身体を持ち上げて、ぐったりした顔を見つめる。
「先生…大丈夫?」
「…アキ…」
「うん?」
「んっ、や…っ」
「楽にしてて?…いい?抜くよ」
「ふ…っあ、あ」
僕のものが抜けてく感覚に、先生は涙を零しながら震える。すぐにでももう一度突き入れたくなる衝動を抑え、そっと先生の隣に横たわった僕は、先生を抱きしめた。
柔らかくて甘い、先生の身体。
目を閉じて何度も熱い息を吐き出していた先生は、しばらくしてぼんやり目蓋を上げた。
じいっと見つめられ、首を傾げる。
「?…先生、どうしたの」
「伝わったかな、と。思って」
「何が?」
先生は肘を突いて上半身を起すと、僕の胸に頭を乗せた。
「言ってただろう?君たち双子は、互いの痛みがわかるって。けっこう痛そうな顔をしてたからね」
その言葉に、ざあっと音を立てて血の気が引いた。
そんな、まさか……。
「…明日、ナツくんに聞いてみる?」
僕を見上げる、先生の意地悪な視線。
「怖いこと言わないでよ」
「面白そうなのに」
さっきまで泣いて縋って、可愛かったのに。いやもちろん、そういう猫みたいな先生も可愛いけどね。
先生は手を伸ばし、僕の前髪をゆっくりかき上げてくれた。
「いいんだよ、そのままで」
「先生…」
「ナツくんとぼくは、違うんだ。こんなことをするの、ぼくだけだろう?」
ふっと頬を緩める先生が、幸せそうに見えて、嬉しくなる。
そうだね、先生。
誰かを好きだと思う気持ち、必要だと思う気持ちには、たくさんの種類があるのかもしれない。
「…ねえ、先生」
「ん?」
「一琉って、呼んでもいい?」
ナツが先生のことを一琉ちゃんって呼ぶの、ちょっと羨ましいと思ってたんだ。
でも先生はくすくす笑いながら「ダメ」って言う。
「え〜…」
「そんな不満そうに言ってもダメ。君はいつまでも、先生って呼んでなさい」
意地悪ばっかり言う、まだ少し熱い先生の身体。僕はその愛しい身体を強く抱きしめていた。
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≪ツヅク≫