始めるときに渡された、甘い香りのするローションをまた少し垂らして。力の抜けてる先生の中、指を増やして蠢かせる。
「やっあああっ!」
「もう痛くはないみたいだけど…平気?」
抜き差ししながら聞くと、先生はやっぱり首を振るから。仕方ないなと受け止めた細い足に口付ける僕を、涙に濡れた目で先生が見つめた。
「せんせ?」
「も、いいっ」
「全然、大丈夫そうじゃないんだけど」
さっき首振ってたのに。でも今の先生には、そういう判断をするほど、理性が残ってないみたいだ。
「いいからっ!アキっ」
確かに先生の後ろはぬるぬるになってて、最初に比べたら締め付ける力も弱くなってるけどさ。大丈夫なのほんとに?
ゆっくり指を抜いて、先生に覆いかぶさる。もう痛いくらいに熱くなってるものを擦り付けるだけで、先生は身を震わせていた。
「いいの?」
囁いて、唇を舐める。
泣き過ぎて赤くなってる目が、僕を見つけて。先生は口を開いた。
「はや、く」
「…先生」
「も、はやく…っアキ」
華奢な手が僕の背中に回って、もどかしげに引き寄せられた。
唇を深く重ね、先生の身体を撫でて。身を起した僕は、ふうっと息を吐く。
「辛かったら言って」
「ん…っ」
「ほんとはもう、限界なんだよね」
ちょっと眉を下げて言うと、先生はようやく笑みを見せてくれた。
ずっと慣らしてて濡れてる先生の後ろへ自分のものを宛がう。柔らかくなってるそこが少し開いて、ほんの先だけ咥えこむのに、背筋が震えた。
辛かったら言えとか言ったけど、止めてあげられるかな。
でももう僕自身もたまらなくて。
先生の足を押さえ、ゆっくり腰を押し付けていった。
「ひ、あっ!あああっ」
「っ…!せん、せ」
「やああっ!ったい、アキっ」
ぎゅうぎゅう締め付けられて、僕まで脂汗が浮かんでしまう。でも自分が痛いことより、先生が辛がって首を振る姿の方が、見ていて堪えた。
「ん、っ!せんせ…口、開けて」
歯を食いしばる先生に囁きながら、圧迫と痛みで萎えた先生の前を掴む。
強張ってる身体は、僕をぎゅうぎゅうに締め付けてて、それ以上突くことはおろか抜いてあげることさえ出来ないんだ。
強く先生のものをしごきながら、口の中に指を差し入れる。噛み付かれるのも気にならなかった。
「っは…ああ、あっ」
「そう、そうやって声出して…息、ちゃんとして」
先生が口を開けたのを確かめ、顔のそばに手をつくと、縋るものを探していたのか先生は強い力で僕の腕を掴んだ。
爪が食い込んで、痛いんだけど。少しずつ柔らかくなってく後ろが、中へ中へと僕のものを誘うのに、身体が熱くなってそれどころじゃない。
さんざん指で慣らしてる間に知った、先生の弱いところを狙って、繋がりを深くする。そうしたら先生が急にびくびく身体を震わせて、締め付けられる痛みが緩くなった。
「先生…大丈夫?」
「あ、ん…ああっ…や、なに」
「…動いても大丈夫?」
聞いても答えは返ってこない。
やばい、これ。僕の方が止まらない。
「っ!ごめん、先生。痛かったら後で謝るからっ」
それだけ言うと、僕は先生のものを掴んでいた方の手を離し、色の白い足をいっそう開かせた。
「あっああっ…や、ぁっ」
突き上げるたびに先生の声が甘くなっていく。片手を僕の腕に縋らせたまま、もう片方の手で自分の髪を掻きまわしてる。
今まで僕は、繋がることで得る即物的な快楽しか知らなかった。でも今は自分のものが感じてる刺激以上に、先生の姿に夢中になってる。
――すごいね、先生。
誰も見てない、先生の無防備な姿。僕にだけ許されるんだって、そう思うだけでも体温が上がってく気がするよ。
本当に好きな人とするのは、こんなに違うんだ。
これがセックスなら、今まで僕が知ってたものは、子供の遊びでしかない。
苦しそうに眉を寄せてるのも、反対に快楽で開きっぱなしの唇も。なにもかも、僕だけのものでしょ?
「い、いっ…アキっ!」
「うん、せんせ…僕も」
ほんと、全身を揺さぶられてるみたいだよ。ぞくぞくして、早く先生の中に出してしまいたいって思うのに、勿体無くてずっとこのまま先生と繋がっていたいとも思うんだ。
二律背反の想いが快楽と直結する。
ああ、終わりたくないな。
確実に迫っている到達点が垣間見えるたび、快楽が僕を引き止める。でもそれは少しずつ、近づいていて。
「アキ、アキっ!やぁっ、あっ!」
僕の腕に縋る手が、痛いくらい強くなった。何度も名前を呼ぶ先生は、苦しげに顎を仰け反らせる。
「イク?…せんせ、イキたい?」
「んっ、イク…っ!アキ、ああっ」
いっそう深く先生を抉って、先生の唇を塞いでしまう。置いてかないでよ。僕を欲しいって言ったのは、先生でしょ。