「ん…して、もっと…」
可愛いっ!
切なく眉を寄せて、自分の唇を舐めてるアキは、いつもぼくを抱いてるような余裕を持てずにいる。その様子が可愛くて、ぼくは弄っていた胸から離れた。
「してあげない」
「せ、んせ」
「ダ〜メ。いつまでも寝てる子にはしてあげません」
「ん…もっ、と…」
もどかしげなアキは、自分の手でそこを触ろうとしてる。ぼくが手を押さえたら、嫌がって僅かに首を振るんだ。
「自分でするのも禁止です」
「あ…やめ…」
「違うとこ触ってあげるから、我慢しなさい」
力の入らない、アキの手。これならぼくにでも、片手で易々と拘束できてしまう。
じれったそうに抵抗するアキの手を押さえながら、ぼくは下着をずらせて、まだ柔らかいものを取り出した。
「触って欲しい?舐めて欲しい?」
指先で根元から先まで、つーっとたどってみる。いつも聞かれること、たまにはぼくが聞くのもいいよね。
「ぁ…んっ、せんせ…」
「どうして欲しいの」
「ん…くわ、えて」
触るか舐めるかって聞いてんのに、咥えてって。ほんとに寝てるの、この子は。
「イ、ヤ」
アキの要求を聞いてあげずに、片手でそこを握り締めた。ぎゅう、って強く握ったら、拘束してる手に力が篭っていく。
「やめ…っ」
痛そうな顔が可愛い。ぼくの方こそたまらなくなってきて、そこへ舌を這わせた。
「アキ…んっ、ねえ起きて」
「せんせ」
「起きないなら勝手に乗っかっちゃうよ」
まどろっこしくて手を離し、どんどん固くなっていくアキのものを両手で握って、咥え込む。出し入れするときに、なめらかな皮膚が唇にあたるの、気持ちいい。
無意識なんだろう、アキの腰がわずかに揺れてる。大きくなっていくそれを、ぼくに押し付けてくる。
「どこがいいの?」
丁寧に舐めながら聞いてるうちに、自分まで気持ちよくなってきた。まるで先端を舐めてる自分の舌が、性感帯になったみたいだ。
「ふ、ぅ…あぁ、んっ」
普段は聞かせてくれない喘ぎ声。嬉しくなって、逞しいものに唇を押し付ける。
「アキ…」
「あ…っぁ、せんせ…」
「アキ、おきて…」
そのまま喋るぼくの髪、ようやく明確な意思を感じられる指が引っ張った。
「ちょ…なに、してんの…」
アキの眠りはここまでしてやっと、覚醒へ傾いてきたみたいだ。
ちょっとほっとしたけど、でもどっか残念で。ぼくは問いかけに答えず、アキのものにしゃぶりついた。
「え?!って、先生っ!」
すっかり目を覚ましたんだろう。
アキに腕を引っ張られ、引き離されたぼくの口から、もう少しで弾けそうなものがずるっと出ていく。
「な…何してんの?!」
「フェラ?」
「そうじゃなくて!人が寝てる間に…」
顔を真っ赤にして動揺してるアキがあまりにも可愛くて、抱きついた。
「見つけた。アキを起す方法」
ナツくんも笠原家の人たちも、誰も知らない君を起す方法。ぼくだけの特権。これからはいつでも起してあげるよ。
でもアキはよほど不本意だったのか、ぼくの背中を抱き返しながら、溜め息を吐き出してる。
「なにそれ…勘弁してよ」
「起きてくれたのは嬉しいけど、ちょっと残念。せっかく可愛かったのにな〜」
「か…かわいいって何…僕、なんか言ってた?」
「うん。気持ちいい、もっとして〜って言いながら、あんあん喘いでた」
「うわ…かっこわるっ」
本気で嫌そうに眉を寄せ、アキはぼくから離れると、ソファーに顔を埋めてしまった。でも服が乱れたままなんだよ。なんだか何も知らない子供に、イケナイことしてる気分。
「ほらこっち向いて。最後までしてあげるから」
「もうヤダ。本気で泣きそう」
「起きなかった君が悪いんでしょ。いいからこっち向きなさい。それ、ぼくのなんだから。最後までさせろ」
じたばた嫌がるアキと、させろさせないの押し問答が始まる。
でもちゃんと、最後までさせてくれるよね?そうしたら今度は一緒に気持ちよくなって、明日は朝から映画に出かけよう?ぼくがちゃんと起してあげるよ。
早めに帰ってこなきゃ、きっと君は動けなくなってしまう。
実家で武琉のこと煽ってきたし、さっきナツくんの覚悟も促したし。明日二人が結ばれたら、君はナツくんの痛みを受けとってしまうから。
深く深く、双子の弟と繋がってる君。
可愛くてかっこいい君が好きだよ。頼りになる恋人がいて、ぼくは幸せ。
武琉も幸せになるかな?ぼくたちの弟のためなんだから、少しぐらい動けなくても許してやってよね。
そうなったら一緒に、家でごろごろしていよう。
アキと二人でいるなら、きっとどんな時間も楽しいんだから。
...next,side:T.
≪ツヅク≫