ぼくの性格を……活かす?
東さんの言ってくれることが理解できなくて、ぼくはただ東さんを見ていた。
そんな仕事なんて、あるはずない。ぼくほど役に立たない人間はいないんだから。
でも東さんは「一人じゃないよ」と囁いてくれる。
「もう二宮くんは、一人じゃない。僕と二人で見つからなかったら、蓮たちにも相談してみよう。自分じゃ気付けない答えが、見つかるかもしれないよ。…一緒に考えようね」
「東さん…」
「だから今は、とにかく休んで。熱が下がったら、ちゃんと話をしよう。いいね?」
「…はい」
「うん。じゃあ目を閉じて…ちゃんと寝ていなさい」
少し温かくなった東さんの手が、ぼくの目を覆う。熱でだるい身体が沈んでいくのを感じながら、さっき必死に謝っていた虎臣くんを思い出した。
あまり、気にしないでいてくれたらいいのに。彼の言ったこと、何も間違ってなかったんだから。
とても心配してくれたんだ。
いつも穏やかな虎臣くんが怒鳴ったのは、ぼくのため。
申し訳ないと思うのに、そう考えたらなんだか嬉しくて。虎臣くんがそばにいてくれたら、もう少し頑張れるんじゃないかって。
ぼくは意識がなくなるまで、そんなことを考えていた。
《ツヅク》