@咲良
2月:蓮との出会い〜南国荘初訪問
・初めて蓮に会う。想像通りの容姿と、想像とは違う中身に、咲良の想いが勝手に燃え上がる。
・蓮の写真を初めて見たのは5年位前。陣のアシスタントを務めていた蓮は、あまりの忙しさに現場でつい寝入ってしまったらしい。普段の無愛想さからは想像できない無邪気な寝顔が可愛くて、陣はシャッターを押したのだ。その可憐な(咲良目線)姿に一目惚れ。咲良は自分がゲイなのだと自覚した。
・大学へ進学。写真でしか知らない蓮が忘れられず、また父が日本人だったせいで昔から日本文化には興味があり、木造建築を学ぶことに。
・大学在学中に徴兵、休学して海軍に在席していた。兵役を終えて戻ってきた咲良は留学を決心する。(とは、たぶん書かない)
・人生はどんなことがあるかわからない。だったらやりたいことをやるべきなのだ。
・子煩悩な母には反対されたが、なんとか説得して陣と一緒に訪日。留学の手続きだけで帰るはずだった日本なのに、蓮にまで会えたことは奇跡としか言いようがない。
・そう、運命なのだ。
・最近の仕事の話をしている陣と蓮。(良ちゃんにプロカメラマン同士ってどんな会話するんだろう?と聞いてきました)
・咲良は会話に入れないので、思う存分蓮を観察する。
・主に話しているのは陣で、蓮は言葉少なに聞いているけど。でも何も言わず酒を注いだり、食事を取り分けている蓮の姿にいっそう惹かれる。あの低い声が自分の下で喘いだら、それだけでイッてしまうかもしれないなどと、不埒なことも脳裏を掠めていたり。
・蓮の母親の近況を尋ねた陣が、南国荘のことを話し出す。それを聞いて咲良は、南国荘に下宿したいと言い出した。
・渋る蓮に、陣までそうして欲しいと頼みだす。六浦の実家は北海道(?…別の場所でもいいんだけど)。咲良の大学は東京。こちらに知り合いのいない状況で息子を送り出すのが不安だと言う。
・世話になった恩人である陣の頼みでは断りきれずに、蓮は渋々咲良の南国荘入りを承諾。
・咲良は明後日の昼過ぎ、陣を空港で見送って南国荘を目指す。
・夕方に着いた駅から10分の南国荘。しかし土地勘もなく、住所しか知らなかった咲良は迷子に。誰かに道を聞こうとしても、外国人の咲良が話しかけようとすると、みんな逃げてしまう。
・その様子を見ていたのか、若い男が「Can I help you?」と声を掛けてくれた。(May
I〜よりはこっちの方が気軽な問いかけなのだそうです)
・咲良は振り返り、満面の笑みで道を教えて欲しいと住所を差し出す。彼は方向が違うよ、と言いながら、花屋のロゴが入った車で南国荘まで送ってくれた。
・今日は用がないけど、出入りしてるからまた会うかもしれないね、と言い残して男が去っていく。改めて振り返った南国荘。その名に恥じぬ南国荘っぷり。日本らしい深みのある緑とも、祖国の乾いた緑とも違う、情熱的な色彩が気に入った。
・中へ入っていくと、蓮が扉の前で二人の男と話している。すぐ自分に気付いて、連絡すれば迎えに行ったのに、と少し驚いた様子。嬉しくなって抱きついた。
・いきなり口説き文句を口にした咲良を、蓮は押しやったけど。血迷うな、自分は男だと言う彼に、咲良は堂々ゲイ宣言。周囲を凍りつかせてしまった。