【客は叔母様】
おつかい先が深夕の姉、というパターン。桜太が苛められます。
■弥空からおつかい要請
困った様子の弥空。弥空には苦手な人間が何人かいるが、その筆頭が深夕の姉。
彼女は箱入り娘だった深夕とは違い、才気に溢れた女性なので、とある大名屋敷で女中頭を務めるほどの人物。
その叔母から「時雨が深夕の次に選んだという、その人物を自分の元へ寄越せ」と命じられる。(文が送られている)
気の強い、きつい物言いの叔母だけに、桜太を一人で行かせることに弥空は迷うが、しかし叔母は「一人で越させろ」と言うし、弥空は彼女に逆らえない。
仕方なく桜太に話すが、桜太は笑って行ってくると了承した。
■叔母の元へ
叔母様は町から離れた屋敷まで来ているらしい。桜太を見に来ただけなので、そのまま帰ってしまうのだとか。
桜太は仕立てあがった高価な着物を持ち、半日がかりで彼女の元を訪れる。
■いじわるな叔母様
桜太を前に、値踏みするような視線。
幼い桜太に驚き、そうして深夕と似た柔らかい視線にイライラする叔母様。
時雨との馴れ初めや、時雨をどう思っているかを散々聞き出した挙げ句に
「お前は深夕の身代わりだ」
「時雨がお前のような子供に、本気になどなるはずがない」
「お前などでは深夕に到底かなわない」
と、きついことを言われる。
人の言葉に逆らうことを知らない桜太は、だんだんと落ち込んでいく。
■悪い人じゃない
黙って下を向いてしまった桜太。
いびりがいのない桜太に溜息をついた叔母様は、その時はじめて桜太が預かってきた弥空からの文を開いた。
丁寧な言葉で桜太を気遣っている弥空は、深夕が死んで時雨が深く傷ついていたことや、それを立ち直らせたのが誰でもなく桜太なのだと言うことを訴えている。
叔母様は深夕の忘れ形見である弥空を可愛がっている。困惑げに桜太を見直す叔母様は、改めて桜太自身のことを尋ねだした。
誰かから愛され守られることに、どうしても不安を感じてしまう桜太を知って、少しずつ叔母様も心がほぐれてくる。
深夕の思い出話に、桜太は切なそうな顔で、でも笑みを浮かべて付き合っていた。
■愛されキャラですから
叔母様は厳しい表情のまま、黙って何かを書きつけ、桜太に渡した。
町に帰ったら時雨に渡せという。
そうして見送りに立ってくれた叔母様は、最後に一度だけ頭を撫でてくれた。
■帰途
暗く暗く落ち込む桜太。今まで信じていた全てのことが、ぐらぐら揺らいでくる。
時雨の視線も、弥空の優しさも、全ては自分の後ろにいる深夕に向けられたものではないのかと。
重たい足を引きずるようにして、町へ向かう。圭吾の住む村と、町の分岐点で桜太は蹲った。怖くて足を踏み出せない。歩き出したら、一目散に圭吾の元へ走り出しそうな気がする。
■お迎え
そんな桜太を呼ぶ声がした。
顔を上げたら、そこには時雨が。
弥空から事情を聞いて、思わず迎えに来てしまったと笑っている。子供扱いするつもりじゃないんだがと、言い訳をしている時雨は桜太の顔を覗き込んで、彼が傷ついていることに気づいた。
何も言わずに頬を撫で、肩を抱いてくれる時雨と一緒に街道を歩き出す。町についてすぐのところにある宿へ、時雨は桜太を連れて入っていった。
■最高の薬
時雨は叔母様の文に目を通した。そこには桜太を大事にしてやれという言葉と共に、苛めてしまったので慰めといて、という彼女らしい勝手な依頼が書いてある。
ため息をつきつつ、何を言われたの?と尋ねる時雨は、桜太を抱きしめて不安を拭ってくれる。そんなこんなで、結局はラヴい結末に。