「…ずっとぼくが、時雨を守るよ…」
零れた言葉に、時雨は目を見開いた。
「…ずっと?」
「ずっと。…明日も明後日も、ずっとずっと。…約束するから」
だから、そばにいてね、と。
声にならないほど熱い息で誓われて。時雨は桜太を押し倒すと、彼のか細い両腕を掴み、顔の両側に押さえつけた。
「そんな大切なこと、あたしなんかに誓っていいのかい?」
低く尋ねる言葉は、まるで脅しているようだというのに。桜太は優しく笑うのだ。
「時雨が、いいんだもん」
「桜太…」
「最初から、言ってるでしょう?ぼくは時雨がいい…時雨しか、いらな…んっ」
唇を塞がれ、口の中に舌を差し入れられて、桜太の言葉は途切れてしまう。
口腔を舐めまわす時雨のいやらしい舌に、どうしていいかわからない桜太の、たどたどしい舌が触れる。応える方法のわからない、覚束ない舌先に、時雨は首筋の辺りがかあっと熱くなる気がした。
「んんっ…ふ、っ…」
迷っている桜太の舌を捕らえ、きつく吸ってやると、時雨の下で、幼い身体がびくびく震えた。
くちゅくちゅと濡れた音をさせながら、時雨は桜太の唇を開放する。
「っ!は…はあっ…はあ…」
何度も荒い息を吐き出している桜太を、じっと上から見つめて。時雨は桜太の瞳を覗き込んだ。
「苦しい?」
「んっ…ふ、ううん…へい、き」
「あたしが、いいのかい?」
「しぐれ……」
「どんな酷いことをされても?」
尋ねる時雨の目が、熱に潤んでいるのを見て。桜太は艶然と微笑んだ。
「いいよ…」
「桜太」
あどけない目が閉じ、ゆっくり開いた時にはもう。子供の顔などしていなかった。潤んだ瞳に時雨を映し、うっすら開いた唇の間から、きれいな歯列が覗いている。
「どんな酷いこと、されてもいい…」
息を吐くような桜太の熱い答え。時雨はそのまま、桜太の身体を抱き上げた。
激しい雨音の中に、まだごろごろと雷の音が混じっている。しかし目の前のことに必死で、桜太には聞こえていないようだ。
乱されていた着物を剥ぎ取られ、一糸纏わぬ姿にされて。桜太は布団の上で両手を握り合わせ、震えながら座っている。
その身体を引き寄せた時雨は、自分の膝に桜太を抱き、苦笑いを浮かべたまま「嫌かい?」と。いまさらなことを尋ねた。
いまさらだ。
止めてやる気も無いのに。
宥めるように肩を撫でる時雨の大きな手を、桜太が迷いながら掴む。
「桜太?」
「ねえ、しぐれ…」
その手を、自分の胸の上に当てて。桜太は時雨を見上げた。
「ぼく、どきどきしてる…よ?」
こうして、どきどきと胸が震えるのは、何の証拠だった?
少し驚いたような顔をして、しかしにやりと笑った時雨は桜太の胸を撫で、小さな突起に爪を引っ掛ける。
「っ、や…っ」
「本当だ。どきどきしてるねえ」
「あ、んっ…やあっ」
「可愛がって欲しいのかい?桜太」
わずかに硬くなったそこを、時雨がつまんで捏ねている。桜太はもう言葉にならず、何度も何度も頷いた。
まるで確かめるみたいに、小さな身体を滑っていく時雨の手。
雨に濡れて冷たくなっていたその手は、しだいに熱くなっていって。温度を上げるたび、桜太に熱を移してしまう。
「ふ、あっ…あ…」
恥ずかしげに眉を寄せる桜太は、それでも少しも恥じらいを隠そうとはしない。
健気な姿にぞくりと欲を舐め上げられ、しかし時雨はぐっと自分を抑え込んだ。
まだ、幼い身体。
想いのまま引き裂いては、傷をつけるばかりだろうと。勤めて冷静に、でも騒ぐ心を塗り込めるように、時雨は唇を寄せる。
滑らかな肩から、びくびく震えている腕の下をくぐって、華奢な腰を撫で上げた。
「ああ、んっ…やっ」
可愛らしいものが、はっきりと意思を持って立ち上がっているのに気づき、時雨は桜太の身体を抱いたまま横たわる。
「どうしたの、桜太」
「しぐれ…しぐれ、やだ…」
「全然、嫌そうじゃないよ?…ここも。待ってる」
「ん、んっ…あ」
桜太のものを優しく撫でてやりながら、時雨は小さく笑った。
「可愛いね」
「やっ…や、あ」
「食べたいくらい可愛い…。食べてもいいかい?」
ちゅっと音をさせて先端に吸い付いてやると、桜太は恥ずかしさに耐え切れず身を捩った。
「あぁっ…やだ、やっ」
「食べられたくない?」
「しぐれっ、だめ…そこ、いや」
「あたしは食べたい。食べてしまおうか」
勝手なことばかり言って、時雨の口が熱い芯を持ったものを咥える。舌先でぐりぐりと弄られた桜太は、涙を零しながら時雨の長い髪を掴んだ。
何をするかは、今まで散々、時雨の情事を見せ付けられてきたので知っている。でも見ているのと、されるのとでは全然違った。