【明日への約束F】 P:07


「桜太、どうした?」
「…時雨、これ」
 いきなり撫でられ、時雨がびくっと身体を引いた。
「さ、触らなくていいから」
「でも」
「いいから。ね?桜太」
 桜太の愛らしい指が撫でているのは、幼い痴態に誘惑され、固く張り詰めているもの。
 ずっと気づかないふりをして放っておいたそれを、真剣な眼差しが見つめている。
「ちょっと、桜太」
「ぼくが時雨にしてもらったみたいにしたら、嬉しい?」
「っ!いや、あの。待ちなってば」
「嬉しくない?」
「そんなことはないけど…って!桜太っ」
 慌てて止めるのも聞かず、桜太はするりと、時雨の腕の中から抜け出した。
 両手で時雨の熱いものを掴み、跪いて。顔を伏せた桜太の舌が、試すように先をぺろりと舐める。
「っ!!」
 びくっと震え、固まった時雨を上目遣いに見つめる桜太が、満足げな笑みを口元に浮かべる。そしてそのまま、舌先を伸ばし同じところをちろちろと舐め始めた。
「お、うた…っ」
「時雨の、おっきい」
「言わなくていいって、そんなことっ」
 ふふっと笑う桜太の妖艶でさえある笑みに、引き離そうと手触りのいい髪に手を置いた時雨は、そのまま固まってしまう。
 気を良くした桜太は、そのまま口を開いて、時雨のものを受け入れた。
「っ!」
「ん、んっ…ふ、はいら、ない」
「いい、いい。もういいよ」
「でも、しぐれ…あつ、い…よ」
 ため息を吹きかけられて、時雨はさすがに顔を赤くする。
 小さな口が醜悪なものにしゃぶりつき、先だけとはいえ、濡れた舌で舐めまわしている。その淫靡な情景といったら。なけなしの理性が吹っ飛んでしまいそうだ。
 誰に教わったわけでもない拙い口戯は、それだけで時雨を煽る。溢れる先走りのものに、桜太の顔は汚されて、淫らがましい色に塗り替えられていった。
「ん、んっ…ふ、ん」
「おう、た…っ」
 苦しげに眉を寄せ、でも絶対に離さないんだと訴えるように。自然と両手で竿を擦りながら、桜太の赤い舌が時雨に絡み付いている。
 背筋がぞくぞくっと震えた。
 甘くてとろりとした蜜が、時雨の背中を駆け上がって。そのまま一気に桜太の手元へ集まっていく。
「っ!離しなさいっ」
「や…っ」
「桜太っ!」
 時雨が強い力で桜太の肩を掴んだ瞬間、小さな舌が咥えている先を弄った。
 濡れたものが貼りつき、拙いながらも唐突な刺激を与えて。しかも桜太が、強く吸ったりするものだから。
 時雨は桜太を引き離したその瞬間に、熱く燻っていたものを吐き出してしまった。
「っ!!…っは、お、うた」
 どくどくと溢れたものに驚いたのか、呆然とした表情の桜太は、しばらく動かなくて。でも、そのままゆっくり顔を上げた。

 時雨のもので、穢れた顔。
 小さな指がそうっとそれを掬い、舌先で舐め取った。
 じっと時雨を見つめる瞳に、ゆらゆらとした情念の炎を宿したまま、口元が笑う。
「桜太…」
「一緒だね、時雨」
「……あ、あ」
「これから教えてくれるんでしょう?」
 躊躇いもなく伸ばされた手が、時雨の頬に触れた。
「少しずつ、時雨が。教えてくれるんだよね?」
 もっと淫らに。もっと艶めかしく。
 この咲いたばかりを花を、時雨の手で開いてゆけと。
 誘う桜太の身体を引き寄せ、時雨は浮かされたように小さな唇を貪った。