直人は囁きながら、惺の涙を指先で拭った。でも惺は荒い息を吐くばかりで、答えを出せない。
焦れた直人はすうっと目を細めて、意地悪な言葉を重ねる。
「いいの?…抜いちゃうよ」
低い声で脅しながら、ゆっくりと身体を引いて、惺と繋がっているものを抜いていく。自分の中から愛しいものが離れていく切なさに、惺の身体がぶるっと震えた。
「やっ…なお、と」
「うん」
「あ…なお」
躊躇ううちに、赤くなっていく惺の顔。でも直人はちゃんと、わかっている。こうして意地悪なことをされたり、言われたりする方が、惺を余計に感じさせること。
本当に抜けてしまう寸前、ぎりぎりの所で惺は直人のものに手を添え、緩く首を振った。
ようやく目を開けて直人を見つめる。何度かまばたきをするうち涙が零れて。惺は聞き取れないくらい、小さな声を紡いだ。
「…か、せて…」
「惺」
「なおとだけ…だから」
「ああ」
「も、いきたい…いかせて」
「愛してるよ」
大きな手が惺の肩を押さえつける。
いきなり深いところまで突き上げられた惺は、身体を仰け反らせながら悲鳴をあげて、直人の手の中に熱いものを吐き出していた。