身体ごと俺を見ないようにして、震えてる。
ゆっくりベッドの上を移動して、惺の足元からきれいな身体を見てたら、ちょっとだけ切なくなった。
「すぐ気持ちよくしてあげるから。ちょっとだけ我慢して」
俺は惺の腰を捕まえ、勃ちあがってるものに唇を寄せた。
「っ!直人、やめなさいっ」
惺は驚いたみたいに、声を上げたけど。もうここまで来て、そんなことが気になるはずもない。
身を起こそうとする惺の上半身を、とん、と突いてベッドへ戻してしまう。
「直人、やめっ…!」
強引に咥えたら、惺はまるで縫いとめられているかのように動かなくなって。痛そうなくらいにまくらを握ってた。
そんな風に嫌がったって、俺はやめないのに。
唇に当たる惺のものが、少し熱くなってる。それは妙に衝撃的で、俺はやっと惺が感じてくれてるって、実感できたんだ。
俺の愛撫に、惺が熱を上げてる。
俺の手で、あのいつも無表情な惺が、興奮してるんだ。
わかってしまったら、たまらなくなってきて。惺のものを唇できゅうっと締めつけたまま、狂ったように頭を動かした。
「…っ、ひ、ああっ、やめ…っ!なおと、なおとっ!…あ、ぁ」
喘ぐ声は、まるで悲鳴みたいだけど。俺にはわかってる。惺が気持ち良くなってること。
俺の髪を、縛られたままの惺の手が掴んでる。
それは必死に止めさせようとしてるみたいでもあるし、もっともっとって、せがんでるようにも思える。
俺は惺のものから、口を離した。
涙を浮かべてる惺を見たら、ああ感じてるんだって、思ったけど。イッてしまいそうな惺を許してあげずに、俺は意地悪くそのまま、愛撫をやめてしまった。
「惺…?」
「っ…ふ、あ…あ」
「辛い?」
辛いのは、わかってる。
でも、いつもいつも俺の上にいて、絶対の支配者だった惺が、そんな風に縋るような目で、俺を見てるなんて。
唇、震えてるよ。
認めたくないんだね。
俺の手でイカされようとしてるなんて、続きをして欲しくてたまんなくなってるなんて、認めたくないんでしょ?
「ねえ…ちゃんとしてあげるから。惺のイクとこ、見せて?」
俺の言葉に、目を見開いた惺は首を振った。限界のくせに俺の下から抜け出そうと、もがいてる。俺は惺の顔の横に手を突いた。こうして上に覆いかぶさってたら、逃げられないから。
惺はぎゅっと一度目を閉じて、開いた。射るような鋭い視線。シャツで囚われたままだった手を振りほどき、俺の頬を思いっきり引っ叩く。
痛いって、確かに思ったけど。俺は苦笑いを浮かべた。
こんなに惺の力って、弱かった?
そんなことしても、許してあげないよ。絶対に逃がさないから。
「いい、かげんに…しろっ」
「ダメだよ…俺がイカせてあげる」
「離しなさい!」
「なんで?気持ちいいんでしょ。…ほら、もう先走りでこんな濡れてるのに」
「直人っ」
俺はとん、と指先を惺の胸の間に突いて、そのままつーっと下へ滑らせた。カタチのいいおへそで止まったら、惺はきつく目を閉じて顔をそむけてしまう。
「して欲しい?」
首を振って答える惺が、なんか可愛い。
「焦らしてごめんね。すぐにイカせてあげるよ」
惺のものを握って、俺は強くそこを擦り上げた。
「ん、んんっ!ぁあっ!やっ…あ!ああっあああっ」
「惺…惺、すごい綺麗…」
「いやああっ!やめ…!なお、とっ、いや、だっ!あ、ああっ」
激しく首を振って嫌がる惺の顔から、汗で貼りついた髪をかき上げてあげる。
「なおと、なおとっ!ひ、あ…ああっ」
惺が苦しげに俺の名前を呼んでる。
その姿がおかしくなってしまいそうなほど綺麗で、俺は自分が恍惚としてるのに気づいた。
変なの。俺まだ、自分は服一枚脱いでもいないのに。
「惺…イッていいよ…」
耳元で囁くと、惺は無意識に俺の腕を掴んだ。そうして顎をのけぞらせ、身体を強張らせるんだ。
「あ、あっ…ああっ」
惺の胸元まで飛んだものは、俺の手を濡らせて部屋に独特の匂いを放った。
「惺……」
荒い息をつきながら、ぐったりしてる惺に口付けて、俺は自分の手を舐めた。惺の放ったものが、惜しくて。
「…はな、せ…」
「嫌だ」
「もう…いいだろ」
「どうして?…惺、これで終わると思ってた?」
こんな一方的に惺を気持ちよくさせて、それで終わりだってほんとに思ってるの?俺は本当に、惺にとってあの冬の子供のままなんだね。
動けないでいる惺の上で、俺は見せ付けるみたいに着ていたものを全部、ベッドの下に放り出した。驚いた表情で俺の身体を見てた惺は、目が合うと慌てたように視線を逸らせてしまう。
「いきなり突っ込んだりしないから、安心して」