聞こうとした俺に、その隙を与えず……惺はいきなり俺のジーンズのジッパーを下ろすと、まだ萎えてるものを掴み出した。
「っ!せ、惺っ」
「黙ってろ」
「だって、あのっ!ちょ、まって!」
「うるさい」
にいって吊りあがった惺の口元。あんまりにもいやらしくて、心臓がばくばくいってる。
惺は俺の顔を見たまま、そこに唇を寄せてって……ぱくって。なんの躊躇いも見せずに咥えた。
うわっ……されるのかな?とは思ってたけど、実際にされたら視覚的な淫猥さに気が遠くなりそう。
「っ…せ、いっ」
「ん〜…っなんだ?可愛がって欲しいんだろう?」
可愛がるって、そういう意味じゃないってば!!
「ちょ、そこで喋んないでっ!」
首を振る俺の顔。絶対、真っ赤だよ!
どうしてたらいいか、わかんないっ!
でも惺は、そんな慌てる俺に満足したのか、また俺のを咥えてしまった。
舌先で弄りながら、手を使ってサオを擦られてると、いつもより全然早い勢いで熱が上がってくる。
でも興奮してるっていうより、動揺してるんだよ。これに比べたら惺からされるキスなんて、可愛いもんだった!
「惺…ぅ、あ…っ」
「ん、んっ…ぁ…っん」
僅かに聞こえてくる惺の喘ぎ声。してる方なのに、ちょっと感じてるみたいな惺の甘い声を聞いてたら、少しずつ落ち着いてきたけど。でもわたわたした気持ちは、一向に治まらない。
ほっそりした顔が、口いっぱいに俺のを含んで苦しげにしてる姿は、凶悪なくらいに艶めかしくて、際限なく俺のことを煽るんだ。
ちらっと惺が視線を上げた。
俺の様子を窺うような表情だけど、瞳が笑ってる。そのまま根元まで咥えられ、ゆっくり抜かれて……くすって。やっぱり笑われた。
「早いんじゃないか?直人」
「惺…惺、俺ヤバい」
「どうした?震えて。寒いか?」
「ちょ、惺っ」
「なんだ」
「っ…!意地悪なこと、しないでよっ」
「可愛がって欲しいと言ったのはお前じゃないか」
口は離しちゃったくせに、手でずっと俺のを擦ってる。でも俺が耐え切れなくなって首を振ったら、惺はあっさりそこから手を離したんだ。
「せいっ」
「自分ではするなよ、直人」
恨めしくて惺の顔を見たら、すごく楽しげな表情を浮かべてる。
確かに俺も焦らすことあるし、惺を泣かせちゃったことは認めるけどっ。もうしないから、許してよっ……こういうのって生殺しって言うんじゃないの?!
「せ、い…はやく…っ」
情けない声で俺が言うと、惺はゆっくり立ち上がった。そのまま俺を見下ろして、口付けてくれて。離れていくと、惺は俺の目の前で、着てるものを一枚ずつ落とし始めたんだ。
惺の綺麗な身体が、少しずつ露になる。
最近じゃ見慣れてきた細い身体は、浅く灼けてて均整の取れたカタチ。鎖骨とか腰骨とかが僅かに尖ってて、じんわり浮いてる汗に、そこが淡く光を跳ね返してる。
俺はもう、本気でヤバくて。ベッドカバーをきつく握り締めたまま、惺を見ていた。
だって、惺に命令形でするなって言われたら、俺は従っちゃうんだからっ!
「も…せいっ」
最後の一枚まで脱いで、惺は俺の肩に手をかけると、足の両側に膝をついた。僅かにベッドが沈んで、惺を受け止めてる。
「よく出来ました」
「惺…惺っ」
こんなときだけ褒めるんだ。反則だよ。
「触っても、いい?」
「さて…」
「も、ゆるしてよ…お願いだから」
でも惺はいいって言ってくれない。
俺の髪に指をくぐらせて、頭を引き寄せて。誘うみたいに舌で唇を辿ってる。重ねた唇が甘くてくらくらするよ。
惺はそのまま俺の肩を撫でて、痣のある右手を引き上げた。
俺の唇をついばみながら、器用に包帯を解いていく。
巻いてくれるのも惺なら、解くのも惺。
惺はこの傷のことを本当に心配してくれてるけど、でもこうして身体を重ねるときには、包帯越しに触るのが嫌みたいで、外したがるんだ。
だから惺が俺の包帯を解くのは、俺を欲しがってくれている証拠。
右手の痣には、ばっさりと傷がついてしまってる。
俺が自分で切ったとこ、けっこう深かったみたいで、診てくれた馴染みの先生に、痕が残るって言われちゃった。
あの時は必死だったけど、翌日受診したときに先生から怒鳴られるし、ナツは呆れるし、アキは心配するし。じいサマにまで怒られて。
でも惺はちょっと気に入ってるみたい。この傷のこと。
痣を舐める惺は、痣を舐めてるっていうよりも、少し薄い皮のはった傷口に舌を這わせている感じ。
そのまま指を咥えられ、ちゅうって吸われて。まるで唾液を塗り込めるみたいに、丁寧に舐められる。
惺の顔が酔ったみたいに、だんだんと蕩けてきた。