【君に逢いたくて〜陸〜】 P:09


 頬を染める朔が再び圭吾の物を口に含むと、無意識に腰を浮かせる朔の後ろへ圭吾は舌を差し入れた。中を舐めて濡らせ、指を差し入れる。太い指を入れられて、朔はたまらず口を離し、くっと身を反らせて啼いた。
「あ、ああっ…けいご…!」
「どうした。咥えてくれ」
 甘い声で命じられた朔は、再びそれを咥える。中を探って来る圭吾の指に煽られた悲鳴は、全部咥えているものに塗り込められていた。
 大きく固くなっていく、圭吾のものが愛しい。火傷しそうなほど熱いものが、朔の口いっぱいにまでなって。朔は放たれた圭吾の精を、躊躇いなく飲み込んだ。
「っ…」
「んっ…ん、は…あ」
 涙を浮かべる朔は、首をめぐらせて圭吾を見つめる。熱に潤んだ瞳で、何度も何度も唇を湿らせている。
「舐めてやるよ」
「圭吾…」
「膝ついて、腰上げてな」
「そんな…」
「して欲しいんだろ、朔?」
 確かに、して欲しいけど。

 躊躇って躊躇って、朔は震えながら従った。色の白い肌が指先まで染まってしまっている。
 恥ずかしげにしている朔の腰を掴んだ圭吾は、これじゃ届かないだろう?と強引に朔を引き寄せ、もう勃ち上がっているものを咥えた。
「あっぁ…やあっ」
 圭吾のものを舐めて、後ろに指を入れられて、もうすぐにでも弾けてしまいそうなほど膨らんでいるもの。圭吾の舌がいたずらにくすぐるたび、濡れた声が落ちていく。
「や、んっ…!ああ、けいご…ふぁあっ」
 前を咥えたまま後ろに指を差し入れて、やわやわと中を弄る圭吾は、朔の身体が求める熱い渦にだけ、触れてこない。それでも朔は、圭吾の口の中で果てた。ずるりと力が抜けていく。だが下にいる圭吾の怪我を思えば、そのまま身体を預けるわけにもいかなくて。
 膝をがくがくと震わせながらも、両脚に力を入れていると、朔の目の前で圭吾のものが力を取り戻していた。
「朔、こっち向けよ」
 言われて、朔は圭吾の上で身体の方向を変えた。いま濡らされた後ろが、間近になった圭吾の物を求め、蠢いているのがわかる。そっと唇を重ねる朔に、圭吾は細い太腿を撫で回した。
「ゆっくり腰を下ろしな」
「けいご…っ」
何だ?
「やっ…できな、い」
「大丈夫だ、支えていてやる」
「けい、ご…」
「信じろよ。な?朔」
 下から見上げる圭吾の笑みは、ずっと見たかったもの。
 朔は何度か息を吐いて、ゆっくりと身体を落としていく。後ろに、圭吾のものが宛がわれて。ずっと深く中へ入ってきた。
「ひ、う…あ、ああっ!」
 圧し掛かられて抱かれるのと違い、自分の体重が手伝って、気を抜くと最初から深いところまで届いてしまうから。朔は手を圭吾の肩につき、ゆるゆる腰を落としていった。
 何度も息を吐いて、躊躇いながら。でもそのたびに、圭吾が優しい声をかけてくれる。
 単に快楽を得るためだけじゃない。心を繋ぐ行為に、頭がどうにかなりそうだ。いつもより圭吾のものが熱く感じるのも、もしかしたら気のせいじゃないんだろうか。
「あっあ…やっ…んんっ、あっ」
「ゆっくりでいい、焦るなよ」
「けいご…けいご」
 まるで終わらないんじゃないかと思うほど、長い時間。朔はようやく身体を下ろして、涙を浮かべながら圭吾を見つめた。
「よく頑張ったな」
 まるで、桜太にでも言うような言葉だ。
「けいご…っ」
「ん?」
「ぜんぶ、はいっ…た」
「ああ。相変わらず狭くて、熱いな。あんたの中は」
「ね…きもち、い…?」
 舌っ足らずな言葉に、圭吾は手を伸ばし、優しく朔の唇を撫でてくれる。
 自分だけじゃなくて。圭吾も同じ気持ちでいてくれるのかと。褒めて欲しいと思う気持ちは、どこか桜太を妬んでいるようで恥ずかしいけど。今の朔には、零れる言葉を考えるだけの余裕がない。
 ねえ、もっと可愛がって?
 首を傾げ、蕩けるような表情で圭吾を見つめている。唇に触れてくれる圭吾の指へ、わずかに身体を屈め、舌を這わせた。まばたきをするうちに零れた涙は、圭吾の顔に落ちてしまう。
「あたりまえだろう?朔。あんた以上の相手はいねえよ。…どうだ、動けるか?」
「ん…だいじょ、ぶ…」
「手伝ってやるから。もうちょっとだけ、頑張んな」
 な?と。頬を撫でてくれる圭吾に、朔は笑みを浮かべて、僅かに腰を上げた。

 ずるりと中から圭吾が出て行くと、切なさで身体が震えた。はあっと息をつくのもつかの間、深く咥え奥まで突き入れたときの快楽を覚えている身体は、またすぐに圭吾が欲しいとざわめいて朔を泣かせる。