「そんな顔をするようになっていたとは思わなかったな」
「な、に…」
リュイスが何を言っているのかわからなくて、テオは眉を寄せる。
しかしそんなテオを見つめながら、リュイスは短剣を抜くと、一気にテオの服を切り裂いた。
「え…?」
「一生私には敵わないんだと、生意気なお前に教えてやるよ、テオ」
「なに、を…」
テオの問いかけには答えず、リュイスはにやにやとテオを見つめたまま、着ている物を裂いて脱がせていく。
深手を負い、拘束されているテオは、不安を感じていても身体を動かすことが出来ない。それどころか足の上に体重をかけられ、両手を縛られている今の状態では、傷がなくても逃げ出せなかっただろう。
しかしテオの身体は、一瞬にしてびくっと跳ね上がった。
「や、め…っ!リュイス!!」
「おや、そんなツラで隊長などに納まっているから、てっきりココを使ったのかと思っていたが。きれいなもんだ」
抱え上げられた足の間、誰にも触られたことのない奥に、ぺろっと自分の指を舐めていたリュイスが、いきなりそれを突き入れた。
「ひ!ああっ」
「狭いな。初めてか」
「や、め…っ!ったい、やぁっ」
「海賊に囚われた奴がどうなるか、考えたことがないとでも?オメデタイ奴だな」
リュイスの言葉に、今度こそ本気でテオは怯えた。
テオが軍に入ってからリュイスたちが海賊となって現れるまで、この国で大きな戦いが起こったことはない。ラスラリエの平和を護ってきたのは、リュイスたち自身なのだから。
ラスラリエの王国軍に与えられていた使命は王族の警護や、地方で起きる揉め事の解決であって、歴史的にも対外的な戦闘にはほとんど経験がなかった。
それでもさすがに、リュイスの言わんとしていることはわかる。
でもまさか、男の自分に。
しかも自分を育ててくれた親代わりのリュイスが、そんなこと。
「や、だ…嘘だ、そんな」
「さすがにこれでは、私も痛い思いをするだけだな」
独り言のようなリュイスの呟きに、思いとどまってくれたのかとテオがほっとしたのもつかの間。リュイスの手はするっと前へ回った。
「あ…や、っ!」
「こちらを先にするか」
まだ幼さの残るものをぎゅうっと掴まれたテオは、顔を真っ赤にして固まってしまう。
「っく…はな、せっ!」
「生意気にも私に逆らった、お前が悪い」
唯一それだけが許されたかのように、何度も何度もテオは首を振る。
しかしリュイスは気にした様子もなく、いっそそんなテオを楽しんでいるかのような表情で、握ったものを緩やかに扱き出した。