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「よく耐えたな」
「リュ、イス…っ」
「さて続きだ」
抱えているテオの足に舌を這わせる。その感覚に、傷が癒え痛みの引き始めていた小柄なテオの身体が、びくっと竦んだ。
痛さのせいでも、怯えているせいでもない。本人の意思では制御できなかった、一瞬の快楽。
リュイスはそれを見逃さなかった。
意味ありげにに笑いながら、彼はゆっくりと上に着ていた物を脱ぎ捨てる。そこに見覚えのあるペンダントを見つけて、テオは目を見開いた。
金色の鎖でリュイスの首に下げられた、豪華なペンダント。鍛え抜かれた肌で揺れているそれは、ずっと昔から彼が大切にしているもの。
誰にも触らせようとせず、リュイスがいつも身に着けていたものだ。
「これを覚えているか?…テオ」
じっとテオの目を見つめたまま聞いて、リュイスは抱き直した太股に口付ける。
意地悪な緑色の瞳。
まるで昔のリュイスを思い出させるような、楽しげで甘い色。
何も疑わず、一心にリュイスを信じていられた頃と、同じ色。
共に暮らしていた頃を思い出させるような瞳に、懐かしいペンダントの輝きに、限界まで追い詰められていたテオの心が崩れていく。
「っ、ぅ…い、す…リュイス、さま…」
「………」
大好きだった。
このきれいな顔も、意地悪な性格も。
全然優しくなくて、でもいつも見守ってくれていて。
暇つぶしに子供のようなイタズラを仕掛け、楽しそうに笑っている姿が、テオはどうしても忘れられない。
本当に、大好きだったから。
国を護る要だった彼を、王家のために力強く剣を振るうリュイスの姿を、誰よりも尊敬していたから。
身体なんかどうでもいい。
心の痛みに比べたら、こんなもの。
「ど、して…どうして?」
「テオ」
「リュイス様…どうして…」
どうしてこんな酷いことをする。
なぜ貴方は、ここまで堕ちてしまったのか。
愛する王家の人々を裏切り、国の重鎮だった立場を捨て、海賊に成り下がっているなんて。
ただリュイスに会いたくて討伐隊に志願した、自分を辱める理由は何だ。
幼い子供のような顔で泣いているテオをじっと見つめていたリュイスは、溜息を吐いて肩を竦めた。
「余計なことを考えるな、テオ」
「って…だって、リュイス様」
「まだそんな風に私を呼べるのか。本当にお前はいつまでも甘いな」
「そ、んな…」
「こうしている理由なら、お前が生意気にも私に逆らったからだ。素直にごめんなさいと言ってみろ。子供の頃のようにな。そうすれば、やめてやらんこともないぞ」