【Lluis×Theo@】 P:10


 あくまで本当のことなど話す気のないリュイスに、テオは切なく表情を歪めて目を閉じた。

 絶望している自分が悔しい。
 討伐隊に入って、この男に会って、何を聞きだすつもりだったのか。
 国を裏切った理由や、魔族の反乱の真相を、いまさら聞いてどうする。
 こうして意味もなく、ただの思いつきでテオを犯している、今の状況が全てだ。

「だ…れが…きさま、なんかに…!」

 血を吐くような憎しみの言葉に、リュイスはいやらしく口元を吊り上げた。

「好きにするがいい。言う気になるまで、何度でも付き合ってやる」
「リュイス…!」
「今度は後ろからしてやろうか?お前の大事なオウサマの顔でも想像していれば、少しは気持ちよくイケるかもな」
「ふざけるな!離せっ!!」
「ああウルサイ、ウルサイ」
「陛下を侮辱することだけは、いくら貴様でも許さないぞ!反逆者!」
「なんだ、他の事は許してくれるのか。テオはいい子だねえ」

 からかいを含んだリュイスの声。
 無理やり身体を向きを変えられ、古い診察台に這わされたまま、腰を高く掲げられたテオは、ぎゅうっと手を握り締めて呪いの言葉を口にした。

「滅びるがいい…魔族めっ!!」

 叫ぶと同時に、後ろから深く身体を抉られる。

「ひ!あああっ!!」

 痛みに強張っていく身体。
 リュイスは大きな手でテオの髪を掴み、首を捻じ曲げて自分の方を向かせた。

「私が魔族だから、何だ」
「い、たい!やあっ」
「本当に生意気になったな、お前は。私に逆らうなと何度言わせる」

 低い声で恫喝したかと思えば、すぐに表情を歪めて笑う。面白がっているとしか思えない顔。

「泣き喚いて許しを請え。そうすれば少しぐらいは優しくしてやる」
「い…やだ…っ」
「まったく強情な子だ。…では始めるか」

 リュイスの指先がするすると身体を滑って、テオの胸に触れる。弄られすぎて赤みを増したそこを強く押され、テオはきつく目を閉じた。
 視界を闇色に染める。
 もう何も見たくない。
 どんなに苦しくても、辛くても、海賊の言うことを聞くのだけは嫌だ。
 気を失うまで犯され続けながら、テオは唯一自分の中に残された希望に、しがみついていた。
 
 
 
 
 
 討伐隊に志願したとき、テオの頭にあったのは、リュイスのことだけだった。
 唐突に別れてしまったあの人に、もう一度会いたくて。
 動機が不純なことはわかっていたが、王宮を離れ海賊になったリュイスと会う方法が、他に思いつかなかったから。