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【Lluis×Theo④】 P:05


「立場を弁えよ、テオ・オーベリ。貴様はもう海賊の手先に成り下がった、ただの捕虜だ」
「バカなっ…!」
「おい、こいつを連れて行け。言っておくが死にたくなければ妙な気を起こすなよ?魔族と交わった奴だ。どんな目に遭うかわからんぞ」

 下っ端の兵士から「立て」とつま先で小突かれ、テオは仕方なく立ち上がる。

「隊長…」
「オーベリ隊長」

 手酷く殴られ、押さえつけられている兵士たちをよく見れば、彼らはテオが隊長に就任した当初、なにかと反発していた者たちだ。でも実績を挙げ、行動で自分が隊長であることを示していくテオに心を開き、信頼できる部下へと変わっていった。
 テオは引きずられて歩きながら、彼らに向かって「抵抗するな」と話しかける。

「たい、ちょう…?」
「無駄な抵抗は、怪我をするだけです。今はおとなしくしていましょう」
「しかし…!」
「最後に勝つのは正義の味方、なんですよね?」

 作戦会議に出た後、厳しい戦況に打開策を見つけられず、難しい顔をしているテオのもとへ遊びに来る彼らは、よくそんなのん気な言葉を口にしていた。
 あんまり悩むとハゲますよ、どうせ最後に勝つのは正義の味方と決まってる。だからメシでも食いに行きましょう、なんて。いつも明るく笑って。
 自分たちの軽口を引き合いに出したテオを見た彼らも、ようやく表情を緩めた。
 剣先で追い立てられるようにして歩きながら、テオは副隊長をじっと睨みつけている。立ち昇るような静かな怒りに、副隊長は最後まで嫌な笑みを浮かべていた。