何度も犯されたのだから、この男が自分にそれなりの興味を持っている事は、わかっていたけど。でもこんな風に、欲に溺れた浅ましい姿を、自分に晒してくれるなんて思わなかったから。
しっとりと汗ばんでいく肌。物欲しそうに何度も唇を舐める赤い舌。緑の瞳が潤んで、テオを映している。
どうしようもなく恥ずかしくて、目を逸らしたいのに、出来ない。
「リュイス…さまっ」
「うん?」
「あ、あっ…も、だめ…イッちゃう」
「いいぞ」
「ああっ!や、でも…でもっ」
「テオ、一緒にイクか?」
「い…しょ…?」
「そうだ。おいで」
リュイスはテオの腕を引っ張って起き上がらせると、自分の足を跨らせるようにして座らせる。そのまま腰を引き寄せられたテオは、ぐりっと押し付けられたリュイスのものに顔を真っ赤にした。
「は、ぁ…ああっ」
「私の肩に手を回しなさい」
もう身体の中に渦巻く熱を、制御することができない。テオは命じられるままリュイスの肩に縋りつき、額を押し付けた。
「いい子だ」
「リュイス…リュイスさま、も…ダメ…イキたいっ」
「ああ。すぐにイカせてやる」
「ん…んんっ、あ…あ」
「テオ…」
甘い声で名前を呼んで、リュイスはテオの顔を上げさせると、唇を重ねた。舌を絡ませるリュイスにテオは必死に応える。くちゅくちゅ濡れた音の中に脳の奥まで痺れていく気がした。
リュイスの手が改めて二人の昂ぶりを握った。強い力で扱かれると、テオはあっさり弾けてしまう。
「んん、ぁあっ、んっ!」
唇を重ねたまま達したテオは、同時にリュイスのものも欲情を吐き出したのを感じた。それだけで、今まで感じたこともなかった幸福感が身体を駆け回る。
何度も無理やり抱かれ、それなりに慣らされた身体なのに。たった一度イカされただけで、テオの全身から力が抜けてしまった。
ぐったりと寄りかかる細い身体を、リュイスは力強く受け止めてくれる。
「リュイス…さま…」
「良かっただろ?」
自慢げに聞いてくるリュイスを、ぼうっとした瞳で見上げる。よく考えもせず素直に頷いた。
「…はい」
「私もだ」
回らない思考を抱えたまま、テオは間近になったリュイスを見つめていた。
一度彼の手を逃れてから、ずっと心に引っかかっていた気持ち。
意地悪で、残酷で、テオの気持ちなんか全然考えてくれないリュイス。ただ育ててくれたことへの感謝と、自分よりずっと高い位置にいる彼への尊敬だけがあって。
それがリュイスの酷い陵辱で崩壊して…何も残らないはずだったのに。