【Lluis×TheoG】 P:04


「だからといって、何もかも諦めるのか?それは結局、彼らを裏切ることにならないか」
「裏切る…?」
「そうだ。…イクスはお前を信じてくれているんだろう?だからこそ、一緒に毒を飲む気になった」
「…………」
「今はありがたく好意を受けておけ。いざとなったら、あいつほど頼りになる味方はいないぞ」
「でも、リュイス様」
「それでもどうしようもなくなったら、今度はお前が力の限り、あいつを守って戦えばいい」

 少し驚いた顔になったテオに笑いかけ、リュイスはとんとん、と指先で少年の腕をつつく。

「腕に覚えはあるだろ?オーベリ隊長」
「…あります」
「知ってる。師匠が優秀だからな」

 ニヤリと笑ったリュイスを見て、テオはくすくす笑い出した。
 楽しそうなその様子に、リュイスはちゅっと音をさせて、軽くテオの唇を吸った。

「ようやく涙が止まったか。泣き虫め」
「僕が泣くのは、貴方の前だけです」
「じゃあ私の前では、いつも素直に泣いていたとでも言うつもりか?どんな時も平気な顔をしようとしていたくせに」
「え?」
「確かにガキの頃は、しょっちゅう泣いてたけどな。成長してからはまあ、可愛げのない態度だったぞ?どんなに苛めてやっても、歯を食いしばって耐えようとする」

 苛めがいがなかった、とおかしなことを愚痴るリュイスに、テオは首を傾げた。

「リュイス様、そんなに僕が泣くのを見たかったんですか?」
「見たかった」
「だって…僕は貴方に失望されたくなかったから、頑張っていたのに」
「いらん気遣いだ。そんなもの」

 リュイスはそのままテオの肩を押し、ベッドに寝かせて細い身体に圧し掛かる。

「長いこと見てなかったお前の泣き顔、ようやく見たられたと思ったら…あまりに艶めかしくて、気が狂うかと思ったぞ」
「な…艶めかしいって」
「しかも思いっきり反抗しやがって。ぞくぞくしたじゃないか」
「ちょ、リュイス様っ」
「責任取れ。テオ」

 言うや否や、リュイスはテオの夜着を思いっきり左右に開いた。まだ赤く残っている傷は、リュイスがつけたものだ。それを目にした途端、不機嫌そうに眉を寄せる。

「怪我をさせて泣かせても、意味がない」
「あの…さっきから僕、話がよくわからないんですけど」
「今度は嫌がらないだろうな?死ぬような傷を負いながら、治療を拒絶するなんて。二度と許さない」

 廃鉱山で再会したとき、仲間の放った矢で射られた傷を、リュイスの力で治されたくなくて、思い切り暴れたことを言っているのだ。