「ひ、んっ…ぁ…ああ…」
溜め息のような艶声。満足そうに微笑みながら、レフの髪に口付けて。敏感になっている肌を、ウィルは柔らかく撫でていった。
「賢護石の身体に一番詳しいのは、オレだからね」
「ウィ、ル…もう…っ」
「ダーメ。こんな状態で傷なんかつけたら、大変なことになる。もう少し、我慢して?」
賢護五石の身体は外傷に弱い。今のレフは傷を負っても、それを認識できないだろう。だからウィルは執拗に、そこを柔らかく開くのだ。
しかし、もう無理だと髪を揺らしているレフは、恥も外聞もなく早く入れて欲しいと訴える。弄られている後ろは、レフの吐き出したものとウィルの唾液に濡れて、確かな繋がりを求めひくひく蠢くのだ。
それなのにウィルは、あっさりそこから離れ、胸の突起を強く抓った。
レフがひくんと身を震わせる。
「ぁあ…んっ、ぁ」
「起すよ」
「え?…ぅあっ」
いきなり腕を引かれて抱き起こされたレフは、背中をウィルの胸に押し当てられ、彼の膝に乗せられたまま、大きく足を開かれた。
「やめ…っ!こんな、かっこ」
「大丈夫だって。オレからは見えない見えない」
平然と言いながらウィルは膝を立てる。それでレフの足を押さえてしまい、閉じることを許してくれない。
いくらウィルからは見えないと言われても、この体勢ではレフ自身に、自分の痴態が丸見えだ。
「も、やだぁっ…!」
「そんな可愛い声で言わないでよ。どんどん酷いことしたくなる」
自分の後ろに、長い指が入っていく。何度か中を擦っては指を増やされ、驚くほどそこが大きく口を開けている。
収縮を繰り返し、切なげにウィルのものを待っているのだ。目の前の恥ずかしい情景に、レフは唇を噛み締めた。
「や、あっ…はやく、ウィル…!」
「ダメだって。レフ…オレがどんなに我慢してるか、わかってんだろ」
溜め息交じりの言葉を証明するように、レフの腰の辺りにはウィルの昂ぶりが押し付けられていた。どんどん熱くなるそれは、確かに彼がどんな苦痛に耐えているか、レフに訴える。
しかしウィルの興奮を感じたことよりも、レフは別の刺激を受けて、耐え切れずにびくんと身体を震わせた。
「っ!…ばか、耳元で喋るなっ」
首を振って嫌がりながら、レフはウィルに捕まっていた手で耳を押さえた。何事かと首を傾げたウィルが、にっと意地悪く笑う。
「ふうん…」
「ウィル、やめ」
気付かれたことがわかって、逃げ出そうしたけど。逃がしてくれるはずもなくて。
ウィルは片手で、強引にレフの手を引き離した。
「そんな好き?オレの声」
「あっ…あ、ああっ…ちが」
「愛してるよレフ…オレが欲しい?」
ことさら低い声が、直接耳に流し込まれている。それはまるで媚薬のように、レフの身体を駆け巡った。
耳朶に唇が触れている。弄ぶように舌先が耳の端を舐っている。
レフは泣きながらウィルの膝を掴んで、顎を仰け反らせた。