[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。



【Will x Leff ⑬】 P:11


 中心には、クリスのいるラスラリエ王宮。
 兄はどんな顔で親友の診察を受けているのだろうと思うと、ちょっとだけ楽しくなる。
 昔から兄をからかえるのは、ウィルだけだから。
 情熱的に求め合った痕跡を見られていたら、無茶をするなと小言を食らっているかもしれない。
 しょげている兄を思い、愛しそうに頬を綻ばせて、アルムは眩しい情景に目を眇める。
 
 
 
 朝の光に包まれた、美しいラスラリエ。
 積年の想い人を手に入れて、敬愛する兄の友人に見守られて。
 アルムには、何も不安などなかった。

 この美しい国に、兄ほど理想的な国王はいない。政務にはあまり関心がなく、全て賢護五石(ケンゴゴセキ)任せの父より、兄の方がずっと国王に相応しいのだから。
 今の賢護五石と共に、クリスティンが統治するラスラリエは、どれほど幸せな国になるだろう。
 たとえこの恋が終わっても、自分が彼の弟であることは、永遠に変わらない。
 生涯独り身を通すことにはなると思うが、だからこそずっと兄を護り、支えていこう。

 きらきらと輝く王都を、眩しげに見つめる。
 何もかもが煌いて。
 少しも不安などなくて。
 あまりにも幸せだった。

 ……この時の第二王子アンゼルムは、行く先に待ち受ける運命を知らない。
 ただ一人静かに、世界中のどこよりも幸せな王国を見つめて、明るい太陽の光に包まれていた。


《了》