「ちょ…まって!や、やだ」
「嫌か?」
「え?!や、違う、嫌なんじゃなくて」
「…落ち着けよ」
「ごめ…なんか、あの」
茹でダコのように真っ赤になっていく千歳の上で、蓮が笑う。
自分のものを握らせていた蓮は、その手を口元へ持っていって、ちゅっと口付けてやった。
「蓮、ごめんね。嫌なわけじゃないんだ…ちょっと、びっくりしただけで…」
自分のものとは全然違う。ずっと大きくて、太くて…熱いもの。
しゅんと眉を下げた千歳の言い訳に、蓮は汗で濡れた千歳の髪を払ってやりながら頷いた。
「わかってる」
「…うん」
「気持ち良さそうに脱力してるお前を見てたら、このまま入れるほうが楽なんだろうと、思ったんだけどな…」
額に、頬に、首筋に、触れるだけのキスを落としながら囁く蓮は、苦笑の浮かんだ顔を上げた。
「どうにも、な」
「うん」
「勝手にしてるみたいで」
「イヤだった?」
「まあ…何というか」
「ひょっとして、寂しかった?」
ふわりと表情を緩め、千歳はだるい腕を持ち上げて、蓮の肩を抱き寄せる。
ゆっくり重なった、自分より重い身体。ずっと背の高い蓮に包まれて、目を閉じる千歳は、幸せそうな表情をしていた。
「全然ついていけなくて、ごめんね」
「いや」
「ちゃんと蓮としてるって、わかってるから…大丈夫だよ」
「千歳…」
「どきどきして、わけがわからなくなって、思わずイヤだとか、言っちゃうかもしれないけど…やめないで」
「…ああ」
「ちゃんと最後まで、して」
「いいんだな?」
「うん」
「…わかった」
抱き合う身体を離し、蓮は千歳の足を抱え上げ、後ろに指を挿し入れて十分にほぐれているところを少し広げた。
腹につきそうなほど、反り上がっているものを宛がうと、さすがに千歳の身体が強張っていく。
「千歳?」
「う、うん…平気」
「平気じゃないだろ。俺の前で、無理するな」
「蓮…」
「怖いこと、辛いこと。俺には隠すな。お前を支えるために、俺はいるんだ」
――いつだって。
真摯な蓮の言葉を聞いて、千歳は切ない表情になる。
支えてもらっていることは自覚しているから。どんなに恐ろしいことでも、苦しいことでも、蓮がそばにいてくれるだけで千歳は救われる。でも、千歳には何が出来るのか。
「じゃあ、僕は?…僕は蓮にしてもらうばっかりだ」
「そんなことはない」
「だって」
「お前は俺の世界を広げてくれる。…安心するんだよ、千歳がいると」
いてくれるだけでいいんだ。
蓮の言葉は、自分なんかにはとても、もったいないような気がしたけど。千歳はなんだかほっとして、強張る身体の力を抜いていた。