焦る千歳に構わず、すばやく布団を剥ぎ取った蓮は、細い身体をベッドへ押さえつけた。
「やっ!やだ、蓮っ」
「お前な。毎度毎度、手間かけさせんな」
「ごめん!わかった!起きるからっ」
初めて身体を繋いでから、千歳は週に何度か、蓮の部屋で眠るようになった。でもそのたびに朝が起きられなくて、蓮に付け入る隙を与えてしまう。
千歳の両手を押さえ込んだ蓮は、にやりと口の端を吊り上げた。
「それとも俺にこうされたくて、わざとやってんのか?」
「違うってば!わざとなんかじゃ…ま、待って蓮!ダメだって」
「うるさい」
ぴしゃりと言い放ち、蓮は大きな片手で千歳の両手を拘束すると、下着を引き下ろしてしまう。
「や…やだっ」
「わざとなんだろ?」
固く熱を持って、蓮を待っているもの。
朝なんだから仕方ないじゃないか!という千歳の訴えは、聞いてもらえない。
「蓮…お願い。ちゃんと起きるから」
「じゃあどうするんだ、これ」
「そ、そんなもの、放っておいて大丈夫だってば」
ただの生理現象でしょ、と半泣きになって訴えるも、聞いてもらえないのは毎度の話だ。
朝っぱらから蓮の視線に晒され、震えているものは、少しずつ角度を増していく。
蓮は顔を伏せ、根元からゆるゆると先まで舐め上げた。
「あ、あ…やぁっ」
「自分でするか?千歳」
「…ねが、い…はな、して」
「見ててやるよ。昨日みたいに」
低く囁いた蓮の言葉に、今度こそ千歳は真っ赤になった。
もの凄いスピードで蘇ってくる、昨夜の記憶。
千歳は昨日、蓮の目の前で自慰を強要された。背中を抱かれ、鏡の前に引きずり出されて、自分でやれと命じられたのだ。
もちろん最初は嫌がったけど。大好きな蓮に身体中を弄られ、なのにイクことも許してもらえず、限界まで追い立てられた千歳は、とうとう自分のものを握って手を動かしていた。
大きすぎる快楽を前に、思考が蕩けて何も考えられなくなっていたから、あんなことが出来たのだ。朝っぱらから言われて、出来るはずもない。
嫌でも思い出す、昨夜のあれやこれや。
蓮に見られながらしたこと。そのまま鏡の前で抱かれたこと。自分の目で確認してしまった、情事の全て。
己のイク顔なんか、とてもじゃないけど見られたもんじゃない。