蓮とこういうことするようになって、もう随分経つのに。いまだに僕は、慣れることが出来ない。
いや……まあ、その。慣れてないっていうと、語弊があるかもしれないけど。どうしても蓮を見てるのが恥ずかしくて、何もかも任せっきりになってしまう。
そのせいか、けっこう好き勝手されてるんじゃないかなって。思い始めたのは最近のこと。
僕にとって、肌を重ねる相手は、これからもこれまでも蓮だけ。だから蓮が「普通だろ、これくらい」って、当たり前の顔ですることを信用するしかないんだけど。
いつだって僕に何にも求めず、与えるばかりの蓮。
それが不満ってわけじゃない。
でも時々、僕にも何か出来たらって、思うから。
「あの…さ」
「どうした」
「うん…その。蓮はこういうとき、僕に何かして欲しいとかって、思わないの?」
ベッドの上、丁寧に服を脱がされ、その間ずっと身体に唇を押し付けられて、すっかりとろとろの僕は、出来るかどうかもわかならいのに、そんなことを聞いてしまった。
今になってようやく、ベッドの横で自分の服を脱いでいた蓮は、ちょとびっくりしたみたい。面白そうに笑ってるんだ。失礼だな。
「お前が何をするって?」
「な、何って…具体的にあるわけじゃないんだけど」
「したいのか?俺に」
「…何を?」
「何かを」
どさっと覆いかぶさってきた蓮にそう聞かれて、自分で言ったくせに僕は、首を振ってしまう。
自分の言葉をもう後悔していた。だって、こうして面白がる蓮は、そのあと必ず意地悪になるんだから。
「いい、もう。忘れて」
「なんだよ、お前が言い出したんだろ」
「己の力量も弁えず、余計なことを言いました。忘れてください」
改まった言葉で前言撤回する。蓮は深く口付けながら、太股の内側を撫で始めた。
「んっ…ふ、っぁ…あ、あ」
「お前はマグロでいりゃあいいさ」
「れ、んっ…ダメ…ぁ」
「そうやって未だに震えて、俺のすることに怯えてる千歳を見ると、かなりクル」
足を大きく開かされて、熱く昂ぶってるお互いのもの、擦りあわせるようにされるだけで、思考が曖昧になってしまう。
……こんな状態で何かしたいなんて、身の程知らずなこと言ったよね。
中へ指を入れられて、とっくに知られている弱いところ、ぐちゃぐちゃにかき回されていると、もう蓮にしがみついていることしか出来なくなるんだ。
僕が受け入れられるようになったの、見計らった蓮は、あっさり指を抜いてしまった。
「あ、あんっ…や、ぁ」
「でもまあ、そのうちな」
「やだ、れんっ…やめ、ないで」
「させてやるよ、この口で。俺のを咥えて、腰が触れるようになるまで教えてやる。楽しみにしてな」
「ぅ…んっ、ふ、ぁう」
僕の口の中へ指を入れ、舌をぐいぐい押しながら、蓮の方こそ楽しそうに笑ってる。