レンもトラオミも、ボクを心配してくれたんだ。優しい心遣いに、まるで心が溶けるみたいだよ。
きっとみんな、心配してくれてる。
ボクが元気になるの、待っていてくれる。
「トラオミ…チトセ、泣いてた?」
「…わからない。昨日は蓮さんの部屋で寝たみたいだし。でも朝はちょっと、目が赤かったかな…」
「ソッカ」
「咲良さん、オレ」
「キス、イヤだった?ゴメンネ」
「………」
「ゲンキになるヨ。もうダイジョーブ」
「ほんと?」
「トラオミが来てくれたカラね。レンのゴハン食べて、ゲンキになる」
目の上に置いた手を外して、トラオミを見上げ、にこりと笑う。ボクの顔を見たトラオミも安心したのか、優しく笑ってくれた。
「良かった。…じゃあ、もう行くね」
「OK」
「明日は降りてくる?」
「モチロン。レンたちを見送って、イッテラシャイってちゃんと言うヨ」
「わかった」
ドアを開けて部屋を出る間際、トラオミはもう一度ボクを振り返る。ちょっと赤い顔。
「トラオミ?」
「…キス」
「え?」
「そんな、イヤじゃなかった。びっくりしたけど」
恥ずかしいのか、どんどん赤くなっていく顔。身を起こしてトラオミを見つめる。
「ジャア、またシテもイイ?」
「それはダメ!おやすみっ」
バタン!と勢い良くドアを閉め、トラオミが去っていく。慌しく離れていく彼の足音を聞きながら、ボクはしばらくの間、笑うのを止められずにいた。