ね?って。間近にある虎臣くんの瞳に、優しい光が浮かんでいて、ぼくを映していた。
泣きたいくらい、嬉しい。
虎臣くんはぼくのこと、こんなに考えてくれてる。なのに不思議と、申し訳ない気持ちにはならなかった。
ただ嬉しくて。虎臣くんがそばにいてくれたら、何でも出来るような気がして。
ふいに思いついた言葉。言おうかどうしようか迷うぼくを、虎臣くんはちゃんと待っていてくれる。
だから戸惑いながらも、ぼくは自分から気持ちを打ち明けた。
「あの、ね」
「うん」
「明日、日曜日だけど…今日出来なかったから、買い物と洗濯、しようと思ってて。その…もし良かったら…」
「手伝うよ。買い物も一緒に行きたい」
「虎臣くん…いいの?」
「もちろん。言ってくれて嬉しいよ」
「…ごめんね」
わがまま言って、ごめんね。
でも虎臣くんと一緒に、買い物行けたらいいなって、思ったんだ。
いつものように謝罪の言葉を口にしたら、虎臣くんは目を細めた。
「それ、気になってた」
「え?」
「ずっと気になってたんだ。…あのね、二宮さん。オレごめんって言われるより、ありがとうって言われたい」
「あ…」
「さっき横浜でさ、オレがあめゆ買ったら、二宮さんありがとうって、言ってくれたじゃん。嬉しかったよ?」
いつも何かに怯えて、口癖になってしまっている言葉。謝らなくていいのにって、何度か言われたこともある。
今まではそう諭されることさえ申し訳なくて、同じ言葉を繰り返すばかりだった。
だけど今は、素直に虎臣くんの言葉を、受け止められたんだ。
まるでぼくを包み込むみたいな、虎臣くんの優しさ。嬉しくてあったかい自分の気持ちを、ちゃんと伝えたい。
「ありがとう、虎臣くん」
ぼくが呟くと、彼はとても幸せそうに微笑んで、頷いてくれた。