【南国荘U-K】 P:09


「ナニするツモリ?」
「!…咲良さんっ」
「もう夜中ダヨ。そんなオオゴエ、出さないで」
「何を言ってるんだ、騒いでいるのはこの子の方だろう?」
「だからって、ヒロナリがトラオミを叩く理由にはナラナイヨ」

 そう言いながら、咲良さんはオレと二宮さんを部屋から引っ張り出してくれた。
 背の高い咲良さんに立ちはだかられ、お兄さんは手出しできなくなる。
 忌々しそうに、咲良さんを睨んでた。
 ダイニングにいたときとは、別人みたいな表情だ。

「ナニ怒ってるの?イイジャナイ、アオキがどこで寝ても。それともココで寝なきゃイケナイ理由がアル?」
「馬鹿馬鹿しい。だったら蒼紀がこの子の部屋で寝る理由もないだろ」
「あるデショ、理由」
「何を言って…」
「トラオミはアオキと一緒がイイ。アオキと一緒にイタイ。それはダイジな理由ダヨ」

 咲良さんはオレたちを廊下に押しやって、ちらっとこっちを見る。イタズラっぽく片目を瞑ってた。任せろって言うみたいに。
 オレは頷いて、咲良さんの手をぎゅって握る。助けてくれてありがとう。咲良さんが来てくれて良かった。
 咲良さんの手を離す。オレは二宮さんの腕を掴んだまま、自分の部屋に逃げ込んだ。