ばん!ってドアを閉めて。すぐに鍵をかけて。ぼくの手を離した虎臣くんは、履いていた靴を脱ぎ捨て、部屋の真ん中あたりで、いきなりしゃがみ込んでしまった。
「え…?」
どうかしたの?!
慌ててぼくも履いていた物を脱ぎ、虎臣くんに近づいた。
そっか、東さんたちの部屋って、靴を脱ぐようにしてあるんだ。他の部屋は大抵、ベッド以外は全て土足のままだから。
柔らかいラグも敷いてあるのに。昨日は全然気付かなかった。
「あ、の…」
虎臣くんと同じように、しゃがみ込む。
俯いたままの虎臣くんが、大きく息を吐き出した。
「は〜〜…超緊張した…」
「え?」
「すっげ、もうマジ、心臓吐くんじゃないかと思った…」
完全にへたり込んでしまって。ごん、って額を床につけて。そのまま、ぼくを見上げている。
「…イヤじゃ、なかった?」
「なに、が?」
「勝手なこと、色々言って。ごめんね」
「虎臣くん…」
「なんかアタマに血が上ってさ…情けないなオレ、ちゃんと考えずに喋ってた」
もう一度、息を吐いて。虎臣くんはそのまま、ごろりと横になってしまう。
ぼくも隣で、ラグに座り込んだ。
毛足の長いラグ、気持ちいい。東さんと虎臣くんみたい。とても優しい手触りだ。
「昨日のこと…ほんとに、ごめんね」
「………」
「あいつに泊まっていいなんて、余計なこと言って。すげえ後悔して…でもどうしていいか、わからなくて。ほんとにごめん」
「違うんだ、あれは…だって、ぼくが」
「酷い目に遭ったのは二宮さんだよ!」
がばって、身体を起こした虎臣くんに、強い力で腕を捕まれる。
「二宮さんは何にも悪くないだろ?!自分が悪いみたいに言うなっ」
「虎臣くん…」
「あんな酷いこと…悔しい。何でオレ、もっと早く気づかなかったんだろう。ちゃんと考えてたら、わかったかもしれないのに。みんなに甘やかされて、図に乗って…」
自分を責め続ける虎臣くんを見ているのが辛くて、首を振った。
「君が悪いんじゃ、ないよ」
「二宮さん…」
「助けてくれようとしてたの、ちゃんとわかってたから」
「…でも、間に合わなかった…」
ゆっくりと手を離し、後悔に眉を寄せて、虎臣くんはまたその場に倒れこんでしまう。何を言っていいのかわからず、首を振ることしか出来ないぼくを見上げ、苦しそうに目を閉じて。
虎臣くんは自分の目の上に手を乗せ、顔を隠してしまった。
「オレ、悔しくて泣くばっかりで…結局なにも出来なかった」
「そんなこと…」
「もっとちゃんと、色々出来る人間なんだって、自分を過信してたんだ。…二宮さんのこと、自分でこの部屋へ連れてきたのに。何を言えばいいのかわからないし、どうしていいかわかんなくて動けないし…バカみたいだよな」
虎臣くんの口元、痛そうなくらい噛み締められてて、見てるのが辛い。