「蒼紀に嫌われたくないんだもん。気付かずに嫌がることしてたら、教えて欲しい。反省するから」
ね?ってオレが言うと、蒼紀は小さく頷いて。悪戯っぽくオレの目を覗き込む。
う、わ……そういう表情、初めて見た。なんか色っぽい。
「ぼくが嫌がるようなこと、するの?」
「しない…つもりだけど…いつかするかもしれないし」
「しないよ、虎臣くんは」
「わかんないじゃん」
「しないってば。だってぼくは、虎臣くんにされて嫌なことなんか、思いつかないし」
「そう…かな」
「うん」
身体の中の血液全部が、ものすごい勢いで駆け巡っているような感覚。
いいの?そんなこと言って。
「それってさ…蒼紀はオレに、何されてもいいてこと?」
聞いたらさすがに、そういう意味じゃないって言われるかと思ったんだけど。蒼紀は顔を赤くして、オレの頬に手をあてた。
「…いい」
「蒼紀」
「何されても、虎臣くんならいい」
引き寄せられるまま、オレは蒼紀の唇を塞いだ。
舌を差し入れて、蒼紀の口の中を探る。
最初は歯を舐めたりとか、上顎を舐めたりとか、それなりに冷静だったんだけど。こっちだよっていうみたいに、蒼紀の舌でつつかれた瞬間から、もう夢中になっていた。
「ん、んっ…ふ、ぁっ…んんっ」
強く吸い付くオレのせいで、蒼紀が苦しそうな声を上げる。それを聞いて離して、でも我慢できなくてすぐに重ねて。
濡れていく蒼紀の唇が、すごく色っぽいんだ。
どんどん力が抜けていくのに、いつのまに繋いだ手を離したのか、蒼紀はオレの首に腕を回していた。
余裕ないなオレ。いつの間にこんな体勢になったんだっけ。
目を閉じてる蒼紀の顔が幼く見えて、すごく愛しかった。
蒼紀を欲しがってぞくぞくしてる身体と、いっぱい甘えさせたい優しい気持ちが、オレの中に両方存在していて。だけど不思議なくらい、せめぎあおうとはしない。
「蒼紀、目あけて」
「ん、んっ」
「開けて?蒼紀」
囁いたら、言われたとおり蒼紀はオレを見てくれる。涙で潤んでるけど、悲しいわけじゃないってわかってる。
見つめあったまま、また唇を重ねる。
柔らかい舌がどうしようもなく甘くて、探して捕まえて自分の口の中に引っ張り込むんだけど。オレが離しても、蒼紀は逃げようとしないんだ。
意地悪して押し戻したら、嫌がってオレの口に舌を入れてくる。首に回ってる手が、足りないんだとでも言うように、オレを引き寄せる。
自分がそうだから、気付いたのかもしれない。
蒼紀の身体を肩から下へ、ゆっくり撫でてたどっていたオレは、そうっと唇を離して耳に口を寄せた。
「蒼紀…勃ってる」
「やっ、やだ」
「なんで?オレは嬉しいよ」