【南国荘U-プロットC】 P:04


C蒼紀
咲良が帰った日〜咲良の再来日



・南国荘を発つ咲良にハグされ混乱した蒼紀がようやく動けるようになったとき、南国荘には誰もいなかった。(実際には榕子や伶志たちは部屋にいる)

・ほんとうに怒涛のようだった一週間。逃げ出すことばかりが脳裏を過ぎるが、千歳に迷惑はかけたくない。

・何気なく庭に出ると、蓮が干して行った洗濯物が目に付いた。実家でしていたように、自然とそれを取り込み畳み始める。

・学校から帰ってきた虎臣に声を掛けられて、顔を上げた。いつのまにかリビングには榕子がいて、虎臣を迎えていた。全然気がつかなかったけど、誰もそれを咎めようとはしない。

・洗濯物を指さし、畳んだの?蓮さんに頼まれた?と虎臣に聞かれる。自分が勝手なことをしたと気付き、後悔する顔になった咲良に、虎臣は「リネン室に運ぶんだよ」と着替えに二階へ戻るついでで教えてくれる。

・教えられたとおり、リネン室の棚に洗濯物を置きながら、蒼紀は後悔しきり。着替えを済ませて顔を出した虎臣は、誰がやってもいいじゃないかと話してくれた。

・彼に連れられてリビングに戻る。おやつにしましょう、と話す榕子と虎臣のためにお茶を淹れた蒼紀は、二人に感謝されて驚いてしまった。

・夕方帰ってきた蓮は、先に庭へ行ったのだろう。「洗濯物どうした」と低い声で尋ねる。怒らせたと思って身を固くしている蒼紀の肩を叩き、虎臣が「二宮さんがやってくれたんだよ」と代わりに報告。無表情の蓮は、あっさり「ありがとう、助かった」と口にした。

・迫力に圧倒され怖かった蓮の感謝。榕子や虎臣のときとは、比較にならない衝撃。そのときはまだ、喜んでいいのかどうかわからなくて。



・それから蒼紀は、躊躇いながらも少しずつ、蓮の手に余る家事を手伝ってみた。自分だけでは無理だったが、迷っている蒼紀を見つけると、必ず虎臣が声を掛けてくれたから。

・学校から帰ってくる虎臣を「おかえりなさい」と迎えるのは、もう日課だ。しかしある日「いままでは毎日、榕子さんが待っててくれたけど、最近は二宮さんだね」と言われてショックを受ける。自分は榕子と虎臣の時間を邪魔してしまったのか。

・翌日、蒼紀は怪我も治っていないのに、仕事を探しに南国荘を出た。しかし久しぶりの人ごみや、気ぜわしい街中に疲れ果ててしまう。

・結局仕事も見つからず、顔色を悪くして南国荘に帰ってきた蒼紀を見つけ、虎臣がちょっと拗ねた顔で「今日は帰って来ても二宮さんいなくて、がっかりした」と予想外の言葉。意味がわからない。自分は榕子と虎臣の時間を邪魔しているのに。

・驚く蒼紀の顔色が悪いことに気付き、虎臣は心配してくれる。「熱あるじゃん!何してんの、ケガ人なのにっ」

・部屋へ引っ張って行かれ、起きて来るなと年下の虎臣に叱られる。落ち込む蒼紀をとうの虎臣が慰めてくれた。

・自分も南国荘に来た当初は戸惑ったし、鍵っ子(死語?)だったから、居場所のない辛さはわかる。でもここではそんなこと気にしなくていいんだよ、と。

・虎臣の大人びた気遣いに少し緊張が解けたせいか、蒼紀は熱がぶり返し寝込んでしまった。ふと目が覚めると、必ず誰かが枕元にいてくれる。

・何度目か目が覚めたとき、枕元にいたのは咲良。彼は今日、戻ってきたのだ。視線を巡らせれば、虎臣の姿も。

・もう熱も下がったし、明日には起きられそうだ。身を起こした蒼紀に、咲良が「ケガ治ってナイのに、シゴト探しに行ったってンだッテ?ムチャするから、倒れるンダヨ」と話し、虎臣と諍いに。

・そこへ帰宅した千歳が顔を出し、雷を落とす。病人の前で何をしているのか。

・二人を叩き出した千歳は、改めて蒼紀に「急いじゃダメだよ」と諭してくれた。