L虎臣
蒼紀の告解〜ラブラブ
・蒼紀の身に起きた不幸は、虎臣の許容範囲を越えている。自分の親も再婚したようなものだけど(二人とも初婚なので)、それを望んだのは虎臣で、東家にあったのは幸せだけだ。もし自分が同じ状況になっていたら、耐えられただろうか。
・蒼紀は「逃げた」というけど、ギリギリまで一人で耐え、誰も傷つけずに家を出た蒼紀が、とても愛しい。何かしてあげたいと思う気持ちばかり、大きくなっていく。
・千歳が好きで、彼に何かしたかった頃とは全然違う気持ち。あの頃は「いつか」とか「大人になったら」とか、夢ばかり見ていたのに。カッコイイ自分が颯爽と千歳を救う姿を思い描くばかりだった。
・でも蒼紀には、情けない姿を見られてもいい。なりふり構わず、何かしたい。
・蓮が言っていた。わからないなら蒼紀に聞けばいい。蒼紀もわからないなら、二人で考えればいいのだと。その言葉を頼りにして、虎臣は「オレに何が出来るかな」と聞いてみる。
・「あのね…オレ、ずっとカッコつけることばっかり考えてた。好きな人の前で泣いたりとか、ありえないと思ってたんだけど…今は情けないとこ見られてもいいから、蒼紀のために何かしたい。好きな人の役に立てるなら、何でもいい。ねえオレにも何か、出来ることはある?」
・その言葉に、蒼紀はほわりと頬を染めたけど、虎臣は自分が告白したことに気付かなかった。
・蒼紀がぎゅっと握った手を握り返してくれる。「そばにいて…手を握っていてくれるだけで、嬉しい」
・言われたとおり手を握る。もう片方の手でも、蒼紀の手を捕まえる。じっと顔を見つめる。恥ずかしそうな蒼紀が可愛いな、と思って。吸い寄せられるように、唇を重ねてしまった。
・唐突な自分の行動に、自分で驚いた。蒼紀も同じくらい驚いている。二人で真っ赤になって、俯いて。そうっと顔を上げれば蒼紀も自分を見てる。それでも手を離したりしない。
・「イヤじゃない?」と聞いてみた。耳まで赤くなった蒼紀は、小さな声で「虎臣くんならイヤじゃない」と答えてくれる。繋いだ手を引っ張って抱きしめて。もう一度「イヤじゃない?」と聞けば、蒼紀はまた「イヤじゃない」と答えるのだ。
・「好き、だよ?」と囁いてみる。「うん」とさらに小さな答え。もう一度キスをして、じれったくて蒼紀の肌に直接触れて。ドキドキする気持ちのまま、二人で熱に溺れた。