【Will x Leff L】 P:04


 柔らかい唇が、だんだんに濡れていく。
 応えられないと嫌がるクリスの声は、少しずつ甘く掠れていった。

 ―――ん…っ、ふ、や…いや…っ
 ―――クリス…
 ―――あっ…ん、だめ…やっあ、あっ

 何度も唇を重ねる。角度を変えて深く口付ける。
 押さえつけていた手を緩め、ほっそりとした指に自分の指を絡めた。息も絶え絶えになっている兄を見下ろして、アルムはたまらずに自分の昂ぶりを、彼の物に擦り付けた。
 ひくん、と自分の下で、華奢な身体が震える。
 目を閉じて、恥ずかしげに顔を背ける兄の姿に、アルムは少し目を見開いた。

 もしかしたら、この人の中にも。
 自分が戦っていたのと同じ獣が、棲みついているのかもしれない。

 ―――愛してる。
 ―――やめ…っ
 ―――愛してるんだ。
 ―――違う…許して…もう…
 ―――貴方を愛してる。貴方だけだ、クリス…

 兄は一瞬、絶望するように睫を震わせた。そうして何かを諦めた表情で、まぶたを上げた。
 眦が赤く染まっている。
 それをたまらなく綺麗だと思った。

 ―――こんなこと…許されるはずがない…
 ―――わかってる。でももう、耐えられない。貴方を愛してるんだ。俺には貴方しか見えない。
 ―――アルム…
 ―――どうか俺を受け入れて。貴方に拒絶されたら、俺は本当に死んでしまう。
 ―――私、は…
 ―――愛してるよ、クリス。愛してる。

 繰り返し囁き続ける。貴方を愛していると、呪文のように同じ言葉ばかり。
 辛そうに目を閉じたクリスから、確かな答えが零れる事はなかった。それでも囁き続けたアルムの肩に、とうとう彼は手を回して。
 自分の身体に、弟の頭を引き寄せていた。
 
 
 
 
 
 引き裂くように服を脱がせ、熱い肌が直接触れ合うと、クリスは別人かと思うほど淫靡に乱れた。
 アルムの手を導き、甘い嬌声を上げて、もっと欲しいとねだるのだ。
 自らかしずき、何の躊躇いもなくアルムのものを咥える。むしろ慌てたのはアルムの方だった。
 愛しい兄の手で竿を擦られ、熱い舌先に翻弄されて。きれいな顔が醜悪な自分のものを口いっぱいにほうばっている。喘ぐように息を吐きながら、苦しげに眉を寄せる。
 すぼまる頬を見ているだけで、たまらなかった。離してくれとせがむのに、兄は許してくれない。
 耐え切れずに吐き出したものを、嚥下する喉元。辛そうに眉を寄せながら彼は、自ら這いつくばり腰を上げて、アルムに入れて欲しいと懇願する。

 ろくに慣らしてやる余裕もなかった。
 おざなりに濡らしただけで力任せに開き、昂ぶりを押し付ける。痛みに悲鳴を上げた兄は、そこから血を流していたけど。心配するアルムに首を振って、声を掠れさせながら抜かないで欲しいと甘えてくれた。

 深く突き上げるたび、クリスの身体は痛がって泣き叫ぶ。それに反して、彼はもっと欲しいと腰を揺らせる。
 もっと深く。
 もっと奥まで。
 酷くして。傷つけて。離さないで。